本日、9月10日。
歯科通院の途中で気になる看板を見ました。

商店街の古いお店をリニューアルした今風のごはん屋さんのようです。わざと書きなぐったような筆跡で「定食・丼ぶり」と出ています。こらこら、「どんぶりぶり」とは何やねん(笑)。

まあ、ドンブリと言いたいのは推察します。しかし残念ながら、丼は1文字でドンブリと読むのです。


」の文字はもともと「井戸」を指す文字でした。「」の古い時代の形です。周りの囲いが井桁(いげた)を表し、真ん中の「、」は 水を汲む釣瓶(つるべ)などを示すとも、空洞の意だとも、中のを表すともいわれています。

ちなみに、井桁とはこんなもの。そのままって感じの形ですよね。
井桁
                        著作権フリー画像サイトより借用


中国語では「セイ」「タン」の2種類の読みかたがあります。「セイ」が古いほう(「井」と同音)で、意味は井戸です。ところが「タン」と読むと意味が変わり、物が井戸に落ちる音。どぶん、どぼん、みたいな擬音語(ぎおんご)となります。

で、この文字が伝わった頃の日本では、物が水に落ちる音を「どぶん」ではなく「どんぶり」と言ってたらしいんですね。そのため、訓読みは「どんぶり」になったのです。これは食器としてのドンブリや食べ物としてのドンブリの語源のひとつと言われています。
<ドンブリの語源については、過去記事『どんぶり。』へどうぞ>

ということで、ドンブリは1つの音なのでした。カツ丼とか天丼の時に「ドン」と言うのは、長いから省略してるだけのこと。正式の読みかたではありません。

略した言葉にもう一度、省いた言葉をくっつけて書く。ずいぶん無駄な手間だと思いますよね(笑)。



丼なのに重箱の隅つついてみた(笑)。
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