本日、9月9日。
五節供のひとつ「重陽(ちょうよう)の節供」です。

重陽の節供については去年も書いているのですが、日本でも長寿を願う節供とされ、発祥地の中国では「老人の日」であるという理由がわかりませんでした。ブロ友さんがコメントでわかりやすいサイトを教えてくれたので、今年はそこらへんを書こうと思います。
<去年の記事はこちらへどうぞ>

重陽の節供には、厄除けのひとつとして菊花が用いられるのは去年書いたとおり。
去年は書き忘れてしまったのですが、天体運行で決まる二十四節気とは異なり、節供は日付による行事なので、現在使われている新暦では1ヶ月前後ズレてしまいます。

新暦9月の初めでは「菊?」って感じがしますが、たとえば今年の旧暦9月9日は新暦の10月21日。これなら菊花と結びつくのも納得がいきますよね。

中国では、冷え込みが厳しくなる晩秋に咲く菊花を「徳の高い花」と考えるのだそうです。いいですねぇ。
そして寒さや霜に負けない菊花を「不老草」と見なしたことから、菊を愛でると長生きするという民間伝承が生まれました。

このあたり、日本の松や欧州のモミの木など、冬も落葉せず緑を保つ常緑樹が長寿や生命力の象徴とされたのと同じ感覚ですね。

また、菊花はやはり漢方で用いるそうで。
以前に「魔よけや招福など霊的な存在とされる植物=薬草」説を書いたことがありますが、菊花もまた然りと言えそうです。

ちなみにその効能は【熱を下げて毒を消し、視力をよくし、「風」(古代、漢方医学で病因と考えられていた六淫の一つ)の病を取り除き、肝臓や肺にもよく、腎臓を強めるなど】ということです。

帰去来辞(ききょらいのじ)』で有名な5世紀初頭の詩人・陶淵明(とうえんめい)も菊花茶をおもてなしに使っていたのだとか。菊花茶はわたしも好きなのでちょっと感激です(笑)。

辞書によれば、菊花茶の効能は【古来から解毒作用や血をきれいにする効能があるとされ、特に目の疲れを癒したり解熱・鎮静作用がある】とのことで、ブロガー必須のお茶かもしれませんね(o^-')b

長寿や健康の象徴である菊花への結びつきから、重陽の節供が中国各地のお年寄りを敬う風習と溶け合っていったのが、この日を長寿の節供としていった理由のようです。

なお、日付の近い日本の「敬老の日」は重陽の節供と関わりがあるのか、疑問に思ってWikipediaであたってみたところ、こちらは「収穫を終え気候のよい時期の区切りのよい日」ということで、9月15日と定められたのが始まりだそう。似たような性格の行事ですが、関係はないようです。

(※参考サイト「人民中国」)


Hubいわく「帰去来辞」って「地元に帰ろう」?
あー、確かに(笑)
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