
本日、7月17日。
意味が共有できないなら辞書を引くべきです。
『大辞泉』によれば「さばさば」には3つの意味があり、1つめは【面倒なことや嫌なことなどと縁が切れて、さっぱりした気分であるさま。すっきり】。「はっきり断わられて、かえってさばさばしたよ」などと使うパターンですね。2つめは【性質などがさっぱりしているさま。物にこだわらぬさま】。これが今回のお題でしょう。3つめは【衣服などの水気が乾いて、気持ちがよいさま。さっぱり】ですが、現代ではあまり使わない気がします。
で、「性質がさっぱりしててこだわらない」というのと 口数 には何の関係もありませんよね。
無口でもねちっこくない人はいくらでもいますし、べらべらしゃべる上にしつっこいヤツもいます(いや、これ最悪かも

しかし。実は「さばさば」の語源は「さわやか」のサワなのです。
旧仮名遣いではサハヤカと書きます。その語幹(ごかん)「サハ」を重ねて「サハサハ」という言いかたがあり、『源氏物語』にも出てきます。そして近世(織豊~江戸時代)には勢いよく「サッパサッパ」となります。このへんは「アハレ(あわれ)」が「アッパレ」になったのに似ています。
<あっぱれについてはこちらへどうぞ>
この「サッパサッパ」が現代語の「さばさば」になるわけです。
この語源から続く流れで考えると、周囲が気まずい感じがするほどしゃべらないというのは「さわやか」な印象ではないですよね。言葉の底流のイメージと合いません。ゲーリーさんが違和感を感じたのも無理はない、ということになります。
余談ですが、サハヤカの語幹「サハ」が単独で「サッパ」と変化したものが、中世(鎌倉~室町時代)に「さっぱり」になりました。これは【あとに何も残らないさま】を表すため、全然ない・まったくだめの意が出てきて「もうけはさっぱりだ」などとも使うようになりました。
言葉は共有できてなんぼ。
