本日、7月20日。

夏の「土用」の入りです。




土用については、ざっくり解説編を冬の土用の時に書いていますが、今回は「五行(ごぎょう)」についてもうちょっと書いてみようかと思います。五行とは、世の中のすべてのものは「水・木・火・金・土」の五元素から成り立つとする、古代中国発祥の考えかたのことです。<冬の土用記事はこちら




対応するかのように、西洋では世界は「火・地・風・水」の4つのエレメント(=要素・成分)から成るとする考えがあり、たとえば占星術で牡羊座・獅子座・射手座を火のエレメント、牡牛座・乙女座・山羊座を地のエレメント、双子座・天秤座・水瓶座を風のエレメント、蟹座・蠍座・魚座を水のエレメントと分類するのもここからきています。




こういう考えのもとでは、世の中のすべてが五元素なら五元素の性質のどれかを有していて、どの分野も五つに分類できるということになります。




たとえば五行説に従い「方角・色・聖獣・季節」と並べると「水=北・黒・亀(もしくは亀と蛇の合体)・冬」「木=東・青・龍・春」「火=南・赤・鳥・夏」「金=西・白・虎・秋」といった感じになります。ところが、色や聖獣はともかく、方角は四方だし季節は四季。あとひとつはどうなるかなって思いますよね。




これはどうしてかわからないんですが、こういう割り切れない感じのものは全部「土」に回ってます。方角は中央。これは自分の立つところという感じで土・大地にぴったりな感じですが、季節はちょっとややこしくなります。上記と書きかたをそろえるなら「土=中央・黄・蛇・土用」となるのです。




では土用とはどの季節をいうのか。二十四節気(=暦のポイント)の「立春・立夏・立秋・立冬」で区切られた各季節の終わり18日間をいいます。つまり、春の土用は立夏までの18日間。夏の土用は立秋まで、秋の土用は立冬まで、冬の土用は立春までのそれぞれ18日間となります。<二十四節気ざっくり解説記事はこちら




1年を四季で割ると3ヶ月。1ヶ月はだいたい30日なので、30×3=90日。ここから18日引くと72日。春夏秋冬はそれぞれ72日あるわけです。そして土用は年4回×18日=72日。まあ、大雑把な計算ですが、日数は五元素に対して公平に割りふられていることになりますね。




さて、この五行思想は6世紀頃に日本にもたらされたとされます。飛鳥時代、渡来人も多く大陸渡りの新知識がたくさん入ってきた頃ですね。




こうした中国の思想などを基にして日本独自の「陰陽道」が発展します。この陰陽道は中国の陰陽五行のほか道教、仏教や日本の神道などに影響されていて、それぞれから少しずつ取り入れたり混ぜ合わせたような独特の神さまへの信仰があります。




その中に「土公神(どこうじん)」という神さまがおわします。遊行神(ゆぎょうしん)=あちこち移動する神さまとされ、春はかまど・夏は門・秋は井戸・冬は庭にいらして、その季節に「その場所を犯す」つまり土を動かすような工事をするとたたりがあるといわれています。




そして土用は土の気が盛んな、まさしく土公神の季節。すべてにおいて土を動かしたり穴を掘ったりする作業をしてはいけない期間となります。ガーデニングもアウトです。もちろん、完全に禁止するとたいへんなので、土用の前からやっていた工事を続けるのはOKとか、「間日(まび)」といって、土公神がお出かけになる(そのため土をいじっても大丈夫)という日をもうけたりしてありますが。




間日は「日の十二支」によって決まっています。まさか、今時こんなことを気にする方はないとは思いますが、なかには信心深い方もおいでかもしれませんので、念のため、Wikipediaによる間日を書いておきます。四季によって異なり、春=巳・午・酉、夏=卯・辰・申、秋=未・酉・亥、冬=卯・巳・寅の日が、土用でもガーデニングOKの日だそうです。




では、ちょっと長くなったので明日に続きます。






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