本日、5月17日。

そういえば、ベリルはMiddle-Earthで珍重されたのだそうで。やはり「緑色の石」ということで森林好きのエルフに好まれ、ダイヤモンドよりも価値があったとのことです。Wikipediaによれば、ベリルという言葉は鉱物としての緑柱石だけでなく、淡青から淡緑の色味の宝石質の緑柱石をも指すのだそうで、かなり繊細な緑だろうと思われます。




さて、今日は日本独自の誕生石である翡翠(ひすい)です。

日本が主要産地のひとつなので、おそらくエメラルドとの色味つながりで「緑色の日本の石」としてつけ加えられたものと思います。




翡翠の漢字は「カワセミ」とも読みます。もともと古代中国で鳥のカワセミを指す言葉が、その羽根色に似ていることから宝石の名前になったといわれています。




しかし、またしても、わたしはこの説が疑問でして。だって、カワセミって青でしょ。緑じゃないよね。と、パペットマペットさんのネタのような疑問が頭で渦巻いてしまうのです(笑)。




翡がオスを、翠がメスを指しているので、ミドリとも読む翠=メスのほうはもう少し緑なのかなと思い、ネットで確認しましたが、羽根色は一緒。青と緑の区別がつかないのは古代日本語
であって、ひとつひとつの事象を示す、気が遠くなるほどの文字数を誇る中国語で混同してしまうものでしょうか。




まあ、これは強力な定説で他へ考えをひろげる足がかりもない状態なので、ここでは置いときます。ひょっとしたら、中国の人の色に対する感覚が少し違うのかもしれないし、直接の色合いではなく「美」という状態をたとえたものかもしれません。




英語ではジェダイド。ネットで調べると、これはスペイン語に由来し、中南米侵略の際に、インディオが内臓の病気からのお守りとして身につけていたため「Piedra de hijade(腰の石)」または「Piedra de ijade(腹痛の石)」としたところから、だそうで。




ただ、スペイン語翻訳でみると「Piedra de」は「~の石」だけど「hijade」も「ijade」も単語として存在しませんでした。中世スペイン語で、とかいうことなんでしょうか。




欧州での名称はともかく、インディオが珍重したことは、翡翠の仮面などの発掘物からも確かなことです。中国でもたいへん好まれ、古代の強烈な絶対君主・始皇帝の「金縷玉衣(きんるぎょくい)」=金糸で綴った翡翠の衣のように、権力者は翡翠製の副葬品とともに埋葬されたといわれています。




これはやはり、エメラルド同様その緑色から、また翡翠は壊れにくいこともあるので、生命力の象徴とされており、死後の世界を信じていた宗教観を考慮すれば、死者に一種の活力を送る考えに基づくものだと思います。二十四節気「清明
」の行事のように、死者が死後の世界で暮らしているとする死生観では、死者に「生気」を送ることを重要視していました。




個人的には、中国・朝鮮・日本の東アジア各国と古アメリカで、同じ石を同じような意味合いで尊んだことがとても面白く感じます。


ベーリング海峡を渡っていった同族たち。携えた文化や思想のうち、何を捨てて何を保ち続けたのか…などと考えていると、わくわくします。








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