本日、3月12日。

ス(3)イー(1)ツ(2)の語呂合わせで「スイーツの日」なんですと。




サイバーエージェントの子会社だった「スーパースイーツ」が制定元というものの、いったん解散して別会社としてリスタートしたりしてるので、今でも「スイーツの日」にかかわる会社と言えるかどうかわかりません。まあ、制定しっぱなしの記念日ってかなり多いので、ワケわかんなくなっていても、さほどめずらしいことではないかもしれませんが。




ネット上の用語として「スイーツ脳」「スイーツ(笑)」というのがあるそうですね。

Wikipediaによれば【雑誌やテレビ番組によって仕掛けられた言葉に踊らされ、そのような流行を追うことをお洒落なものとして享受しているような日本人女性たちが、決まって「デザート」を「スイーツ」と言い換えて呼んでいるような現象を男性側がからかい、皮肉の意味で「(笑)」をつけて呼んだ】というんですが、わたしはちょっと疑問符です。




デザートというのは、あくまで「ディナーの最後に出る食べ物」であって、確かに通常はプディングやパイなど甘いものであることが多いですが、必ずしも甘いとは限りません。たとえば、甘くないチーズがデザートというケースもあります。デザート=甘味というのは、笑っている側の認識不足です。




また、「お菓子と言えば」という意見もあるようですが、スイーツはお菓子だけでなく、果物など甘さを感じるもの全般を指します。どうでもスイーツはダメというなら、的確な和訳としては「甘味(かんみ)」がそれに当たるでしょうが、ただ、これも現代の一般的な日本語ではなく、ずいぶん前から「甘味処」限定になってしまっていて、通じにくいと思います。




根本的に、メディアに踊らされるなという批判は理解できるし、いいご意見だと思います。


けれど、言葉の持つ意味ひとつ調べることなく、安易に他人を笑うのであれば、笑っている本人もまたメディアや他人、世間の風潮に踊らされているわけで、これでは「バカと言う者がバカ」という金言そのままであろうと思います。




まあ、こんなのは言葉の遊びだよ、こまごま固いこと言うのも阿呆だ、ということならかまいませんけれど・・・

遊ぶのなら、批判と非難とけなし合いではなく、もうちっと機嫌よく遊んだらどうでしょう、とは思います。




さて、わたしが今までで一番美味しそうと思ったスイーツは、『ナルニア国物語 ライオンと魔女』でエドマンドが白い魔女にふるまわれるお菓子です。邦訳本では、わかりにくいため敢えて「プリン」と訳されていますが、原語では「Turkish delight」。固めの求肥(ぎゅうひ)に砂糖をまぶしたようなもので、すあま、ゆべしなどにたとえる人が多いですね。




実際のお菓子はともかく、これは白い魔女がエドマンドに仲間を裏切らせようと誘惑する場面で、実はとりこにする魔法もかかっている特別なお菓子ですから、その描写の美味しそうなこと・・・




そういえば、古典ファンタジーの双璧といわれる『ナルニア』と『指輪物語』を比較して、ひとつ勝手に確信したことがあります。

それは、ルイスは食いしん坊で、トールキンは食べるのがあまり好きではなかった、少なくとも「食べること=楽しみ」というタイプではなかったのではないかということ。




『ナルニア』に出てくる食事の描写は常に本当に美味しそうです。『カスピアン王子のつのぶえ』のりんご、ただの果物のりんごさえ、ちょっと食べたくなるような感じです。正直、空腹時には読めません(笑)。




対して『指輪』は、1日6食を旨とする食いしん坊のホビットを主人公に据えながら、どうも食事に楽しい雰囲気がありません。そそる感じがないのです。


そしてその頂点が、ひとくち食べれば一日腹持ちするエルフの食べ物「レンバス」。非常に美味とはいうものの、美味というばかりで何も伝わって来ず(たとえようがないと言ってもねぇ・・)、トールキンが食事に機能しか求めていないのがハッキリ出ていると思うんですよねー。




ファンタジーの世界をさまよいつつも、こんなところに目がいくのは、わたしが食いしん坊な証拠でしょうね。「食いしん坊と言う者が食いしん坊」ってものです(笑)。




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