本日、2月2日。
明日は節分で「土用」の最後でもあります。
夏の土用は、平賀源内 の「丑の日」のおかげで有名ですが、四季に土用があることはあまり知られていないようですね。
土用とは、中国の五行説がもとになったものです。
五行説は「すべてのものは水・木・火・金・土の五つの元素から成る」とする考えで、自然現象にも社会現象にもこの五つをあてはめて解釈するものです。
この考えで季節にも「冬=水」「春=木」「夏=火」「秋=金」と割りふり、それぞれの季節の直前18日間を “土” に割りふったものが「土用」です。毎年の「立春」「立夏」「立秋」「立冬」の18日前から始まり、節分(立春・立夏・立秋・立冬当日)で終わります。
土用には土の気が盛んなので、土を動かしたり穴を掘ったりする土木作業や土いじりなどは禁忌とされます。
墓穴を掘る関係から、葬儀も禁忌に含まれました。これは冬の土用ならともかく、もっとも暑いとされる夏の土用には困ったんじゃないでしょうか。
そのためかどうかはわかりませんが、「土用前に作業を始めていれば、続行するのは差し障りがない」とする逃げ道も、いつからか設けられています。
話は変わって、昨日、メモを見落としてしまったので、一日ずれてしまった話題(笑)。
各地に「猫の正月」という風習があるのをご存じでしょうか。
日にちは地域によって違いますが、岩手県では昨日=2月1日を「猫の正月」というのだとか。
いつもよりちょっといいご飯をあげたりして、祝ってあげたそうです。ところによっては、コメをまいてねずみにも正月祝いをしてあげたといい、それでいくと昨日の「穴施行」も、やっぱり本当にやさしい気持ちでおこなわれているものなのかもしれないですね。
では、今日は岩手県の「猫とねずみの昔話」で終わりにしたいと思います。
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猫とねずみは友だちで「互いにごちそうをしあおう」と相談をした。そこでごちそうをこしらえ、折を見ていっしょに仲良く食べるつもりで、寺の本堂の奥に隠しておいた。
ところがある日、猫が「今日は寺で葬式がある」といって本堂へ行き、ごちそうの上のほうを食べてきてしまった。
ねずみが「今日のお葬式はどうだった」ときくと、猫は「なあに、上舐(うわなめ)という人の葬式さ」と答えた。
翌日、猫はまた「葬式をみてくる」と寺へ行き、ごちそうの中ほどを食べてしまった。
ねずみが「今日はどんな人のお葬式だった」ときくと「中舐(なかなめ)という人の葬式だった」と答えた。
翌日も猫は同じように寺へ行き、ごちそうを食べ尽くし、底まで舐めて帰ってきて、ねずみには「今日のは底舐(そこなめ)という人だった」と言っていた。
それからしばらくして、ねずみが「さあ、今日こそお寺へ行って、いつかのごちそうを食べよう」と言うと、猫もいっしょについてきた。ところがごちそうはすっかりなくなっている。
ねずみがやっと気がついて「お前は、上舐・中舐・底舐のお葬式だなどと言って、このごちそうを食べてしまったんだな」と恨み言を言うと、猫は「ああ、そうだ。おれはどうせ悪い猫だから、こうする」と言うなり、友だちのねずみを取って食ってしまった。
それから猫とねずみの仲は、いまのような具合になったそうな。
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