本日、1月26日。
「文化財防火デー」です。


1949(昭和24)年のこの日、現存する世界最古の木造建造物=法隆寺の金堂で漏電のため出火。国宝の壁画の大半が焼けたり放水でダメになったりしました。これを受け、また1月と2月が1年のうちで最も火災が発生しやすい時期であることから、1955(昭和30)年に文化財保護委員会(いまの文化庁)と、国家消防本部(いまの消防庁)が記念日を制定。文化財を火災、震災、その他の災害から守ること、そして全国的に文化財防火運動を展開し、文化財愛護に関する意識を高めようという日だそうです。


終戦まもないことを思うと、長い年月、さまざまな試練を乗り越えてきながら、平和の世でついに消失してしまったことがいっそ不思議に思えます。文化財にも「寿命」のようなものがあるのでしょうか。

そういえば、千利休の高弟であった戦国大名・古田織部(おりべ)が古い茶碗をわざと壊して黄金などで継ぎ、その景色を楽しむというので、ある僧侶が「長く壊れもせず伝わったにはそれなりの命運がある。それを我が勝手で壊すような者は、必ず終わりがよくないだろう」というような予言をしたといいます。織部は予言どおり、勝利者となる徳川方に味方しながら「大坂夏の陣」で内通(ないつう=裏切り)の疑いをうけ、腹を切りました。


大事なものを壊されるといえば、お正月の縁起担ぎに関する昔話を思い出しました。

もはや街なかは節分の豆と恵方巻きだらけ、今さらお正月を持ち出すのも変な感じですが、まだ1月だからいいでしょ(笑)。


あるところに大変な「御幣担ぎ(ごへいかつぎ=縁起などを気にする人)」のお金持ちがいた。たくさんいる使用人は、いつもよけいな気をつかわなくてはならなくて、大きに迷惑だった。

さて、めでたいお正月。御幣担ぎもヒートアップして、おめでた尽くしの正月になるよう皆が懸命に努めていたところ、なんと、年始の来客の前で女中さんが土瓶を割ってしまった。主は「なんという縁起の悪いことを!!」と大激怒。

ところが、この女中さんはたいへんかしこい人で、土瓶の持ち手の蔓(つる)を見せて「正月にドン(鈍)とヒン(貧)とを打ち割って、手元に残るはカネ(金属とお金をかけた言葉)のツルなり」とやった。それで主も怒りをおさめたが、それではこぼしたお茶を拭こうと雑巾を持ち出すと、また「正月から座敷に雑巾がけとは」と怒り出した。

すると女中さんは「あちら拭く拭く(福々)、こちら拭く拭く(福々)」とやった。御幣担ぎの主は「とても縁起のいいことを言ってくれた」と大喜びしたそうな。


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