本日、1月2日。
「ひめはじめ」です。
これは昔の暦に書かれている「何の日」ですが、近世にはすでに意味がわからなくなっていたという、いわくつきの言葉。やがてこれを「秘め」の意に取って、秘めごとを始める日と考えたのが、現在もっとも広く知られている解釈です。
ただ、性的なことを生産に結びつけて「めでたいこと」とし、交わりの真似事を福招きとしておこない、春画を「笑い絵」と呼んで宝物にした近代以前の日本人。ここだけ「秘め」と、えらくご清潔なのが気になります。
秘めてたっけ?(笑)
実は、現在もっとも有力な説は「ご飯を食べ始める日」です。
古代のご飯には「強飯(こわいい)」と「ひめ飯(いい)」があります。強飯とは「おこわ」みたいなものと考えられていて、ひめ飯のほうはもっとやわらかいものです。
はっきりはしないのですが「おかゆ」や「おもゆ」を指す言葉は別にありますので、おそらく現代のご飯に一番近いものと思われます。
ちなみに「ひめ」という言葉は「強(こわ)い」の対義語で「小さいもの、か弱いもの、やわらかいもの」などを表します。
勝手に想像しますと、元日にはお餅を食べて、二日には普段の「飯」に戻すというような習慣があったのかもしれません。
現在の感覚だと「えー、1日だけ?」って気もしますが、何でもたらふく食べられるようになったのはごく近年のこと。お餅は加工の手間もかかり、水増しできる「飯」に比べればかなりぜいたくな食べ物ですから、古代には一日だけの「供物」に近いものだったとも考えられます。
時代が下るにつれて食物栽培の技術は上がるので、一日でお餅をやめるわけないでしょ!という状態までくると、意味のわからない日柄になってしまった…なんてことだったりして。
Wikipediaによると「ひめ飯」説のほかに
飛馬はじめ → 乗馬初めの日
火水はじめ →火や水を初めて使う日
女伎はじめ → 衣服を縫い始める日
姫糊はじめ →女性が洗濯・張物を始める日
の説があるそうです(全部「ひめ」と読みます)。
乗馬説はチラ読みしたことありますが、ほかは知りませんでした。そういえば、おせち料理は元日に「火水」を使わないために始まったという説もあったような…。
ところで、お餅には円餅(まるもち)と切り餅があります。
これは、古代に「稲作が進んでいた西日本」と「焼き畑が主流だった東日本」の違いによるといわれます。
ちなみに「焼き畑」とは草地などを焼いて、それを肥料にして畑を作る農法です。
畑の作物を大切にした東日本では、イモが神聖だったようで、おそらくお餅への軽視が、丸める手間などを拒否して、ささっと伸ばして切って終わる「切り餅文化」の底流にあるのではないかと思います。
丸いものは自然や、おだやかな魂を象徴します。
お餅の形はお好みでも、まるく、なごやかな一年になりますように。