昼に古典名作「四の切」、そして夜は「スーパー歌舞伎」。

古典とスーパー歌舞伎の同日上演は初。

「不可能と言われると、やりたくなるのが澤瀉屋」(新・猿之助)という

劇中口上から始まった夜の部。

この中で、福山雅治寄贈の幕にあった不思議な隈取の由来も明かされました。

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これは猿翁や段四郎といった過去の澤瀉屋の名優たちの

隈取を重ねて出来たものとのことです。

「襲名」とはまさに比べたり超えたりするのでなく、重なっていくもの。


■ヤマトタケル

全三幕。何度か脚本を改訂したようですが、

今回は初演時の脚本に戻しての公演。

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第一幕の見どころは皇子兄弟を演じる猿之助の早替わり。

録音テープを駆使しての兄弟の会話シーンなどが古典では無い場面。

本作では歌舞伎俳優だけでなく殺陣師も多数出演しており、

立ち回りの迫力が通常の演目とは段違いでした。


第二幕で目を引くのがアクロバットシーン。

火の精を演じるのは京劇の中国人俳優たち。

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雑技団ばりのアクロバットが見事でした。


そして三幕のラスト、白鳥の精となり天上へ昇るヤマトタケルの宙乗り。

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衣装や演出が醸し出す雰囲気が「バブル」を感じるスーパー歌舞伎。

宙乗りやケレン(特殊効果)は今となっては目新しさは少ないですが、

立ち回りの最中にBGMを流し、音楽とツケ(拍子木)を組み合わせてるのが

スーパー歌舞伎ならではという感じ。

また、見得を切る瞬間にはBGMを切り、迫力を際立たせていますね。


ストーリーとしては、父の寵愛を受けず自分の存在意義に悩むヤマトタケル、

しかし自分に与えられなかった父の威光を、自分の息子に継がせることができた・・・


と、これはまんま香川照之の人生ですよね。

これを襲名公演に選ぶあたり、

「この父子、こんなんでいいのかなぁ」と考えさせられましたが、

よその家庭(しかも梨園)に口出しするのも無意味ですな。


しかし、新・猿之助のヤマトタケル。

「猿之助」という名跡を継いでいくという熱意を感じました。素晴らしい!



あと、全くの蛇足ですが、この日の大向こうの担当は女性だったのですが、

あの声での掛け声は大向こうに向いていないので止めて欲しかった。

とはいえ受け持ちなら声を上げないわけにはいかないし・・・

うーん。もっと良い声の人を担当に選んで欲しいものでした。