歌舞伎、ワイン、etc…ブログ 『CAVINET』

■通し狂言 當世流小栗判官(とうりゅうおぐりはんがん)

四代目・市川猿之助の襲名が決まった亀治郎による小栗判官。

当代猿之助の代名詞とも言えるこの役を、意外にも初役で演じます。

猿之助歌舞伎の真髄である3S(ストーリー、スピード、スペクタクル)が濃縮された演目。


序幕では暴れ馬・鬼鹿毛(おにかげ)を、

小栗判官が巧みな馬術で乗りこなすところが見どころ。
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二幕目・「近江国堅田浦浪七住家の場」

悪の手から逃れた小栗判官の許婚・照手姫を匿う漁師・浪七。

照手姫に懸賞金が懸かっていることを知った村の悪党が、

無い知恵を絞って浪七を騙そうと奔走するところがおかしい。

特に獅童は体を張っていて場内は大爆笑でした。

花道での引っ込みでは「役が悪すぎる・・・!!」と嘆いていましたが・・・
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続く「浜辺の場」では一転、照手姫を攫って海に逃げる胴八を追うも、

漁師連中に囲まれ満身創痍の浪七の凄惨な姿が印象的。


三幕目「奥座敷の場」では、小栗判官と照手姫、萬屋娘・お駒の三角関係を描く。

小栗判官とお駒を亀治郎が二役・早替わりで演じ分けます。

これは今年春のテアトル銀座「お染の七役」でも見せた亀治郎得意の技。

娘への愛と、かつての主君への恩義で揺れるお槙を演じた笑三郎の演技が迫力。
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そして大詰めではいよいよ小栗判官と照手姫を乗せた天馬の宙乗り。

当代猿之助が、スピルバーグの「E・T」を見て着想を得たという、

前代未聞の大仕掛け。悠然と、しかしところどころ危なっかしく天を行く姿に

場内は大喝采でした。
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笑いあり、涙あり、そしてアクションありと、様々な要素が凝縮した演目。

亀治郎による演目は、かつての猿之助同様、伝統的な歌舞伎とは違いますが、

歌舞伎に慣れていない人でも文句無く楽しめる作品となっています。

これから歌舞伎を見ようとする方には、是非オススメしたい演目でした。



終わりに。

人間国宝・中村芝翫丈が逝去されました。

八月の新橋演舞場の舞踊を見て、

彼の姿を見るのもあとわずかと以前書いた ばかりでしたが・・・

ご冥福をお祈りいたします。