■吉例寿曽我(きちれいことぶきそが)


鶴ヶ岡石段の場。


工藤祐経の家臣二人による立ち回り。


長い石の階段が後ろに90度倒れていく舞台機構が見どころ。


大磯曲輪外の場。

石段が後ろに倒れると、舞台の場面は富士の裾野へ。


「寿曽我対面」(対面)で有名な、祐経と曽我兄弟の対面の場。


背景は「対面」よりシンプルですが、


各人の衣装は相変わらず豪華絢爛。

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歌舞伎の醍醐味・エッセンスを短時間で味わえる良作。



■春興鏡獅子(しゅんきょうかがみじし)


五月の團菊祭で菊之助が演じた演目。


今回は復活を果たした海老蔵が舞います。


前半の小姓弥生。海老蔵は女役をやるにはちょっとデカい・・・・


舞踊も平凡な感じ・・・


その後に出てきた玉太郎・吉太朗の蝶の精の舞のほうが面白かったです。


が、真骨頂は獅子の精となって再び舞台に上がった海老蔵。


獅子の舞と見得は本当にダイナミック。


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三階まで聞こえる勢いで息を吸い込んだかと思うと圧巻の毛振り。


何と100回も獅子のたてがみを振り回しました。


30回くらいで場内から拍手、50回くらいで歓声に、80回を過ぎた頃にはどよめきに。


海老蔵の、今回の舞台に対する気合を感じました。



■江戸の夕映(えどのゆうばえ)


戊辰戦争によって幕府と新政府の争いが佳境を迎える。


そんな動乱の時代の中でそれぞれの生き方を決める武士三名の話。



幕府・新政府の争いは結局、民衆に巻き添えを強いる。


武士が身を引いて町民になるだけで平穏の時代が来るのなら・・・


と町民となる決意をする旗本・堂前大吉(團十郎)。


一方、田舎から出てきて権威を振りかざす新政府の打倒こそ民衆の意思、と


幕府の軍艦に乗り込み箱館戦争に参戦を決める本田小六(海老蔵)。


大吉の叔父で、小六の許婚・お登勢の父である松平掃部(左團次)は、


武士の威厳を頑なに守り変化する時代に迎合できずにいた・・・



時代の流れに柔軟に適応し飄々と生きていく侍を演じた團十郎。


團十郎の芸風にこの役はぴったりでしたが、それ以上にハマリ役だったのが、


松平役の左團次。


新政府に仕官したくない、かと言って町民として上手に商売も出来ない・・・


そんな不器用であるがカッコいい武家の姿を威厳たっぷりに演じていました。


一方で海老蔵ですが・・・


小六という役は心のどこかで「武士の時代はもう終わった」とわかっているのだが、


最後の最後まで意地を張って抵抗し続ける、そんな男だと解釈したのですが、


その「俺も本当はわかっているんだ」という心情が表に出るのが余りも遅い。


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演目も大詰めになって本当のラストになって、大吉からの杯を受ける、


この唯一の小六の諦めを表す演技で海老蔵がどこまで真意を出せるか・・・


難しい演技ですが、やっぱりココが不十分で、


小六がカッコつけで頭の固い男という印象を払拭できなかった感じがします。



雰囲気は合っているのでもっと頑張って頂きたい!



歌舞伎座改築により地方での公演や若手による台頭が活発になってきて、


面白くなってきたところでの海老蔵の復活。


これがどのような動きになっていくか、非常に楽しみであります。