『お嬢さん乾杯!』

製作会社 松竹大船撮影所

配給 松竹

公開 1949年3月9日

上映時間 89分

製作国 日本

【作品概要】

没落した上流階級の令嬢と、戦後に台頭した新興成金の恋を描いたロマンティック・コメディ映画。

【キャスト】

監督:木下惠介

製作:小出孝

脚本:新藤兼人

撮影:楠田浩之

音楽:木下忠司

照明:豊島良三

調音:大野久男

美術:小島基司

編集:杉原よ志 大沢静子

【スタッフ】

石津圭三:佐野周二

池田泰子:原節子

五郎:佐田啓二

その恋人:佐藤成子

佐藤:坂本武

バーのマダム:村瀬幸子

祖父:青山杉作

祖母:藤間房子

父:永田靖

母:東山千栄子

【あらすじ】

自動車修理工場を経営する青年・圭三のもとに、元華族の令嬢・泰子との縁談が持ち込まれた。圭三は初めは乗り気でなかったが、お見合いで泰子と会ってみると彼女を気に入ってしまう。結婚の承諾を受けた圭三は、ある日に池田家を訪問するが、そこで泰子の父が詐欺事件の巻き添えで刑務所に入っていることと、池田家が抵当に入っていることを知り、自分との縁談が金目当てであることに失望する。

泰子も本当に圭三が好きなのか、家を再建する為なのか葛藤する。

【コメント】

木下恵介は、同じ年に監督デビューした黒沢明と並び称されたが、黒沢が大作・話題作が多く、海外での受賞があり評価されたのに比べると、題材が日常的なことがあり、徐々に存在感が薄れた。しかし、優れた作品を多く残しており、再評価すべき映像作家であると思う。

『お嬢さん乾杯!』は、得意としたジャンルのラブコメディーで、本来脚本も得意としたが、この映画に関しては、新藤兼人に任せている。

映画は、ラブコメディーとしてなかなかの良品であるが、功績の半分は新藤にあるだろう。しかし、テンポのよい演出で、90分以内にまとめた木下の演出も、名匠ならではのものがある。

最大の見どころは、上流社会のお嬢様を演じた原節子の憂いのある演技だろう。泰子は圭三の飾らぬ人柄が好きなのだが、家を再興する為に圭三に頼ること、あるいは圭三の気持ちを思ってか、最後に踏み切れない。それが、表情から伺える。若き日の原の美しさは誰もが認めるところだろうが、本作のヒロイン像は、一見の価値がある。