(*このテキストには、映画のストーリーが含まれているのでご注意ください)

『桐島、部活やめるってよ』

制作会社 日テレアックスオン

製作会社 映画『桐島』映画部

配給 ショウゲート

公開 2012年8月11日

上映時間 103分

興行収入 2億6900万円

【スタッフ】

監督 - 吉田大八

原作 - 朝井リョウ

脚本 - 喜安浩平、吉田大八

製作指揮 - 宮崎洋

製作者 - 菅沼直樹他

プロデュース - 奥田誠治、佐藤貴博他

音楽 - 近藤達郎

主題歌 - 高橋優「陽はまた昇る」

【キャスト】

神木隆之介 - 前田

橋本愛 - かすみ

東出昌大 - 菊池

山本美月 - 梨紗

大後寿々花 - 亜矢

【作品概要】

登場人物名を各章のタイトルにしたオムニバス形式だった原作を、曜日を章立てて、視点を変えて1つのエピソードを何度も描き、時間軸を再構築して構成するスタイルで描く。高知県内の高校やTOHOシネマズ高知などでロケーションを行っている。

全国順次に132スクリーンで公開され、初日は新宿バルト9で舞台挨拶が行われた。公開当時はヒットとはほど遠い状態だったが、口コミにより話題となり、八ヶ月のロングラン上映された。

第34回ヨコハマ映画祭作品賞および監督賞、第67回毎日映画コンクールで日本映画優秀賞と監督賞、第36回日本アカデミー賞では最優秀作品賞他三部門で最優秀賞を受賞し、出演者も多くの新人俳優賞に輝いている。

【あらすじ】

バレー部のキャプテン桐島が部活を辞めるという報せが学校中に広がり、誰もその理由を知らず、生徒間に動揺が走る。宏樹は、桐島を待って竜汰、友弘とバスケをするのを日課だったが止めてしたまう。宏樹は野球部の練習もサボり、恋愛にも夢中になれない。宏樹と偶然会った野球部部長は、「スカウトは来ていないけれど、ドラフトが終わるまでは続ける」と言い、顔を出すように誘う。

宏樹に片思いをする吹奏楽部部長の亜矢は、宏樹がバスケをする姿を見ながらテナーサックスの練習するのが日課だったが、亜矢は宏樹の姿を追って練習場所を点々と変えるようになる。宏樹の彼女・沙奈は、亜矢の目の前で宏樹とキスを交わす。そのことで気持ちを振り切った亜矢は、吹奏楽の練習へ打ち込む。

バドミントン部の実果は死んだ姉と比べて自分を嫌っていた。実果は、桐島にかわってバレー部レギュラーに採用された風助の練習風景に出くわす。自分の実力不足を認めながら必死で練習する姿に風助へ思いを抱くようになる.

映画部の前田は、ゾンビ映画の撮影へ熱心に取り組んでが、毎回遭遇する亜矢の為、上手くいかない。前田は、片想いのかすみと映画館で出会い会話を交わして喜ぶが、竜汰と付き合っている事を知ってしまう。苛立ちながらゲリラ撮影を続ける前田は、撮影場所に現れた亜矢が「今日で最後だから」と言う気持ちを汲み、屋上で撮影を行うことにする。

桐島が学校へ来て屋上にいるという噂が広がり、駆けつけたバレー部たちが目撃したのは、ゾンビ映画を撮影中の映画部たちだった。苛立つバレー部に撮影を邪魔された事で怒った前田は、ゾンビに扮した映画部員たちをけしかけてバレー部を襲わせ彼らを追い払うことに成功する。

屋上へやって来た宏樹は、前田へインタビューを行う。将来は映画監督になるのは無理だと認め、映画を撮る事はとても楽しいと語り、宏樹は泣き出してしまう。そして宏樹は屋上から野球部の練習風景を眺めながら、初めて桐島へと携帯で電話をかける。

【コメント】

原作は、朝井リョウが早稲田大学文化構想学部在学中の2009年に執筆したデビュー作で、第22回小説すばる新人賞を受賞している。筆者は、原作を読んでいないのだが、映画を観て想像するに分かりやすくて楽しめる傑作ではないかと思った。

制作の経緯も、残念ながら今のところ分からない。ただ、吉田大八がこの作品の原作を選んだ着眼点は素晴らしい。ある程度の話題を集めていたが、ヒット性が強いと判断するのは難しい小説だからだ。ただし、上手く映像化できれば、よい作品になることは想像できただろう。

また、原作の流れをそのまま映画にしてしまうと、オムニバス形式になってしまうところを、主要キャラクターの視点から見た、一つのストーリーとした所も成功している。

作品は、ストーリーの起伏よりも、登場人物の心理を描くことに主眼が置かれている。また、彼らはそれぞれ悩みを抱えており、それを隠している。その悩みは、誰もが抱えても不思議でない、人間にとって普遍的と言ってよい悩みである。そして、エピソードの主人公の視点が巧みに描かれるが、他の登場人物の内面は分からない。それが、映画が進むにつれて重なっていく。

学校のヒーローがいなくなる。皆が混乱する。観る側としては、タイトルロールの霧島に想像を働かせる。映画が進むと登場人物を通し、普遍的な悩みを目の当たりにする。

映画部の前田は、夢を追うが、すべてが上手く行かず鬱屈している。なので、ラストシーンは圧巻だ。

かすみは、八方美人で、本音を話せる友人はいない。

菊池は、万能だが何に関しても打ち込めずにいる。

亜矢は、実ることのない片想いを続け、自身の理想とのギャップを感じている。

実果は、亡くなった姉を乗り越えられず、桐島を超えられない風介に思いを馳せる。

答えらしい答えは出ることなく映画は終わるが、観るものは、登場人物の思いにシンパシーを抱かずいられないのではないだろうか。



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