同じバイオレンス映画の『地獄でなぜ悪い』の出来がひどかっただけに、この作品の良さは引き立つ。
いったいあれは、なんだったのか。もう、園子温の映画は見ないつもりだったが、彼がコメンテーターを務めたローカル局で流された映像が心に残っていたので見ることにした。
荒唐無稽で意味のないバイオレンス・ムービーであることは同じだが、今回は園子温のアナーキッシュな映像が冴えている。
街に落書きをする若者が描いたようなセットの中で、映画は進行する。殆どのセリフは、乗りの悪い下手なラップだ。映画の作り自体ノリで作った雰囲気だ。
主役の海は、人気ラッパーのヤングダイズが演じている。格闘家の高山善廣やベルナールワッカの配置もよい。前作に引き続きヒロインの抜擢もよい。清野奈名のアクションが、やけに様になっていると思ったら、彼女は芸能高校のアクション部出身だという。最初のオーデションでは落選したが、アクションでの面接で抜擢された。荒唐無稽な映画だけに、彼女のパンチラアクションがなかったら、この映画は寂しいものになっていた気がする。
その他、配役が適切で魅力のある映画である。
映画は、海とメラの抗争が中心に描かれているが、最初にメラに付け狙われた時、海が「お前とは、サウナで会っただけじゃないか」と言う場面があるが、メラの恨みが、極めて些細なことであることが、終盤に発覚する。原作の漫画では、もっと複雑な経緯が描かれるが、むしろ映画のストーリーの方が、作品にインパクトを与えている。
私は、園子温の映画のこってり感が苦手なんだが、流れる様なスプラッタームービーである本作では、それは気にならず、ブッパの死のこってり感も笑えるほどだった。

