製作会社
レラティビティ・メディア
テンプル・ヒル・エンターテインメント
配給
レラティビティ・メディア
ポニーキャニオン
公開 2013年2月14日
上映時間 115分
製作国 アメリカ合衆国
【スタッフ】
監督 ラッセ・ハルストレム
音楽 デボラ・ルーリー
制作国 アメリカ
プロデューサー
シャノン・ゴールディング、ジェイソン・コルベック、タッカー・トゥーリー、トレイシー・ニーベリ、ロビー・ブレナー、ロン・バークルン
【キャスト】
ケイティ・フェルドマン - ジュリアン・ハフ
アレックス・ウィートリー - ジョシュ・デュアメル
ジョー - コビー・スマルダーズ
ケヴィン・ティアニー - デビッド・ライオンズ
【作品概要】
ニコラス・スパークスの小説を、ラッセ・ハルストレムが映画化した恋愛ドラマ。小さな港町にやって来た女性が最愛の妻を亡くした男と恋に落ちるも、逃亡中の身であるヒロインの真実が次第に明かされていく。妻を亡くし二人の子供を育てる男を『トランスフォーマー』シリーズのジョシュ・デュアメルが、暗い過去を抱えるヒロインを『ロック・オブ・エイジズ』のジュリアン・ハフが演じる。偶然出会った男女の純愛がサスペンスとアクションを絡めつつ描かれる。
【ストーリー】
小さな港町。長距離バスに乗りやって来たケイティは、新しい生活をスタートさせる。ケイティは男手ひとつでニ人の子どもを養っているアレックスと出会い、近所に住むジョーのアドバイスもあって親しくなっていく。そんなある日、アレックスは警察署でケイティの指名手配書を目にする。ケイティを逮捕する為、執拗に追うケヴィンの姿が迫っていた。
【コメント】
この映画に少しでも興味のある方は、この評論を読まれる前に観られた方がよい。
まず、キャスティングは、妥当だと思う。ヒロインは、ゴージャスタイプでないキュートなジュリアン・ハフが、妻を亡くした父には、少し無骨だけど飾らないジョシュ・デュアメルがそれぞれ演じている。つらい過去を乗り越えての男女の純愛物語として、普通に楽しめるストーリーである。デビッド・ライオンズのサイコパス振りもなかなかで、謎解きをはらんだアクション・サスペンス映画としても引き込まれる。そしてラストに明かされることになるファンタジーとしても、よく出来たハリウッド映画である。
しかし、私はこの映画を辛口に評価せざるを得ない。ラッセ・ハルストレム監督は、1946号生まれの現在76歳。スコセッシやコッポラなどのハリウッド黄金世代より一世代若い年代だ。
ストックホルム出身のスウェーデン人であり、77年にやはりスウェーデン出身の世界的ポップスター、ABBAの『アバ/ザ・ムービー』のヒットで知られる様になり、85年の『マイライフ・アズ・ア・ドッグ 』で世界的評価を得て、91年の『ワンス・アラウンド』でハリウッドに進出。その後、数々のヒット映画を手掛けている。ストーリーのはっきりとしたロマン物を手掛けることが多く、中途での展開をはらみつつ、殆どの作品はハッピーエンドで終わっている。
私は、映画のストーリーに於いて、ハッピーエンドをいたずらに否定はしない。創作に於いて、人を悲しませ希望を持てない状態にさせることは、必ずしも正しいとは言えない。むしろ、希望を持たせることも、映画の大きな使命ではないかとさえ思う。しかし、映画を観ているうちに、ハッピーエンドをはっきり予測させてしまうようでは、作品の存在意義を問われても仕方あるまい。
この『セイフ・ヘイブン』がまさにそうなのだ。確かにサスペンスの部分では、原作でも要と思われるが、結果を予測することは難しい。また純愛の部分でも、妻を亡くした男の幼い娘が先にヒロインと心を通い合わせる展開は自然であり、気持ちを移入させられるところだ。特に娘を演じる子役の可愛らしさと演技は一見の価値がある。
しかし、その後の男女の結びつきは、ある程度のクッションを入れて、いかにもを防ごうとしている努力は見られるが、やはりの展開だ。ヒロインが悪党に襲われるシーンは、アクションとして最大の見せ場なのだが、ヒロインや子供達が救われることは予測がついてしまう。そして、ラストのファンタジーの要素。これは、多くの作品に馴染んだことがない視聴者ならば、驚きの展開となるかもしれないが、手法としては決して珍しいものではない。
そこで、私が考えたストーリー展開。アレックスが子供達を何とか助け、ケイティのもとへ向かう。しかし、ケイティはデビッドに喉元にナイフを突きつけられ、傷からは出血している。アレックスは、ケイティの命乞いを必死に行い、自分と子供達はここを去るから、二人はもとの住まいに戻ることを懇願する。デビッドは納得し、ケイティにナイフを突きつけたまま歩きだす。どうにもならないという表情で、それを見つめるアレックス。しかし、デビッドは膝下に酷い裂傷と打撲を負っている。ケイティは足場を伝わりボートへ乗り込む時に、その負傷部分を思い切り蹴りおろし、デビッドを海へ突き落とす。ケイティはアレックスのもとへ駆け寄るが、半狂乱になったデビッドは、拳銃を乱射する。弾丸が尽きるとナイフを構えてアレックスとケイティを追い詰めようとする。そこへブラインドから体力に勝るアレックスがタックルをし押さえつけると、ケイティがデビッドの腕を膝で押さえつけ、関節を折るかの勢いで、ナイフを取り上げ、デビッドの首に押し付ける。どうでしょう、かなりのハラハラ感だと思いますが。
いずれにせよ、ハルストレム監督は、ストーリーの重みや新規軸を考え直す時期にあると思う。


