竹と桜
日本にできた最初のバーは、まだ江戸時代だった今から150年ほど前の2月、
横浜外国人居留地内にあった木造2階建て「横浜ホテル」内のバーです。
それから30年ほどたった1889年、
サンフランシスコから横浜グランドホテルの支配人として招かれた
ルイス・エッピンガーというホテルマンが、
当時アメリカで人気のあったカクテル「アドニス」にアレンジを加え、
ホテルのオリジナルカクテル「バンブー」にしたといわれています。
ドライシェリー・ドライベルモット・オレンジビターズという
ワイン系の材料を使用する爽やかな香りスッキリした辛口の味は、
バンブー=竹という東洋的なイメージにあっています。
日本酒にも少し味が似ています。
日本酒を意識して作られたのでしょうか?
考案したのは日本人ではありませんが、
外国人船客によって横浜から世界に広まり、
1906年に出版されたアメリカのカクテルブック
「ザ・ワールド・ドリンクス」にも紹介された
バンブーは、日本で生まれた初めてのカクテルです。
日本人が考案した中で、最も世界に名を知られることとなった
最初のカクテルは「チェリー・ブロッサム」です。
こちらも横浜生まれのカクテルで、関東大震災が発生した1923年
現存する最古のバー「パリ」の前身となる『カフェ・ド・パリ』を開いた
田尾多三郎氏が考案したものです。
桜というより、アメリカンチェリーのような鮮やかな色合いで、
チェリーブランデーのフルーティーな香りと、
ブランデーのコクのある味わいを楽しめる非常に濃厚なカクテルです。
格式あるサヴォイホテルのカクテルブックに掲載されるほど世界的に有名です。
当時このカクテルを飲み、震災の悪夢から逃れ
癒し励まされた人も多かったのではないでしょうか。
アサノ

