ニュースでキングストンに非常事態宣言って出てたね。
僕も色々と世界中ウロウロしたけど、どこが一番怖かったっていうとキングストンやね。
キングストンってのは、ジャマイカの首都で、ボブ・マーレー記念館とかあるレゲエの聖地。やーまん。
マイアミからジャマイカエアーでキングストンに向かったんだけど、乗客全員黒人でイエローは僕だけ。
しかも、その唯一のイエローは仕事だったもんでスーツなんか着てて、目立つ事この上ない。
飛行機の中でもラジカセ持ち込んでる若い黒人が『へ~イ、チノ~』とかって声掛けてくる。チノっていうのは中国人のことだけど、アジア人はみんなチノって言われるんやね。
バリバリの仕事で、通産省の下部組織の貿易振興局みたいなところの人に案内してもらったんだけど、アップタウンのホテルまでは黒人の運転手と僕だけ。とてつもないジャングルみたいなとこを走り出して、『あ、俺、殺されるかも…』とか真剣に思いましたよ。
でも、その程度の怖さは序の口で、街中に入ると、爆弾でも落ちたのかと思うような大きな穴が道の真ん中にあいてて、それを回り込まないと車が走れない。
ひどいとこやな~とかブツブツ言いながらホテルに着いたらすぐに、結構近所で銃声2発。
幸か不幸か我が実家の周りも一時期非常に治安の悪い時期があって、(むかーしの抗争事件のあった時ね)銃声は聞いたことがあったんですぐにわかった。
『やばい・・・、アップタウンでもこんなんやったら、ダウンタウンには到底行けない』
でも、腹は減る。ホテル内にレストランはない。
腹をくくって、暗くならないうちに50メートルくらい先のピザ屋へ。
その道中、マリファナ吸ってる奴多数。いやいや、お兄さん、ズボンからピストル見えてますけどー。
そんなのが一人ではなくたくさんいる。車に乗って超ゆっくり走ってる奴なんか明らかに狙ってる。窓越しに銃が出てきてももはや驚かないくらいの状況だったのですよ、これが。
ピザ屋がそんな連中のたまり場だったらどうしようかと思ったが、今さら振り返るのはさらに危険な感じがしたので、表情一つ変えずに(というか引き攣って変えれない)ピザ屋に入った。
あぁ、神様!家族連れがいるよ!そこまで危険じゃないんだ、この店は!
とっとと食べて帰るのがいいのか、少し時間をおいて東洋人が入って行ったのを見たやつがいなくなるまで待った方がいいか逡巡したけど、食べてるうちにどっちにしても暗くなってきたし、家族連れが出るときに一緒に出ることにした。
店を出たら、『俺はこの町慣れてるぜ』みたいな態度で、手をポケットに突っこんでやや不良っぽく帰ってみました。できるだけ目を合わさずに。声掛けてきたやつには、なんてことないぜみたいな感じでにっこり笑って会釈。
何とか着いたが、夜中何度もパトカーが走りまわり、叫び声も聞こえ、出川哲郎ばりに≪やばいよ、やばいよ≫とつぶやくしかない夜でした。
次の日は朝からVIP待遇で、ホテルまで車がお迎えにきて、そのまま貿易振興局の事務所へ。
元通産大臣とかいう局長に紹介されあいさつしたんだけど、紹介者の人が『西日本最大のWHOLESALERです。』とかって紹介するもんだから、局長、超乗り気で話してきて、『あなたの会社ほどの規模があれば、日本での売り上げアップは間違いないわね』みたいなでかい話になってきて、いやいやほんの50ケースくらい欲しいだけなんだけど…とか言い出せない空気で、またとてつもないVIPな方を紹介された。
もしかしたら行ったことのある人がいるかもしれないけど、モンテゴベイにある≪ハーフムーン≫ってホテルのオーナーさんを紹介されたんです。超高級リゾートホテルですね。カリブ海でも有数のお金持ちで、敷地内にスタッフ向けの学校まで作ってるくらいです。で、スィートにタダで泊めてもらいました。キングストンからモンテゴベイまでの飛行機代もジャマイカ政府持ち。偉くなったもんです。
ま、結局大した仕事にならずに帰ることになって、非現実的な日々とお別れしたって訳です。
いい経験でした。
何の話やったっけ?あ、キングストンは怖いって話でした!