#15 Femme fatale | ギターの話である。当然のことながら。

ギターの話である。当然のことながら。

とっても解りやすい、エレクトリックギターに関することを書き綴ったブログです。
趣味であるヨーロッパやフェラーリのことにも触れたり触れなかったり。

こんばんわ、nobuです。


いきなりですが、よく言われることに、

ある土地の特産品は、

その土地で食べて(飲んで)こそ美味しい、

というのがありますよね。


例えば、

アイラ島で飲むシングルモルトと、

日本のファミレスで飲むシングルモルトは、

同じ銘柄でも違った味に感じる、というふうに。







・・・アイラ島なんか行ったことないですけどね(笑)




まあ、雰囲気に流されているだけ、

とも言えるのですが、

我々は別に審査員でもなんでもないわけで、

至って主観的に物事を楽しめたらと思います。


また、このことは、

芸術作品にも当てはまっていて、

私の好きなヨーロッパの絵画も、

やはりそれが産まれた土地でこそ、

最も自然に輝いているように感じます。

勿論、教会で鑑賞されることを前提につくられた宗教絵画などは当然ですが、

そういった要素のない作品、

例えば日本となじみが深いモネなんかでも、

大原美術館で見るのと、

ジヴェルニーで見るのとでは、

やっぱり違うと思うんですよね。







・・・ジヴェルニー、行ったことないんですけどね(笑)







まあ、そんなわけで、

その土地その土地で、

自然に楽しめるものを楽しむ・・・

それこそがあるべき姿だと思うのですが・・・



やっぱり、そういう“王道”的なことに対しては、

ちょっと逆らってみたくなるじゃないですか?(笑)


それこそがロック・・・

あ、このブログ的にはメタル(笑)じゃないでしょうか。





・・・というわけで、

ここ、日本に居ながらにして、

大好きなヨーロッパをひたすら考えて、

イメージして、

イメージして、

イメージして、

あの風景、あの人々、あの空気を思い出して、

そしてあの歴史を心に描いて・・・

ヨーロッパ、とくにイタリアを想定して、

音色も含めてデザインしたギターが、こちら。











PGM製、アーチトップの・・・

テレキャスタータイプ???

#15です。


一応、Femme fataleと名付けました。






バックスタイルはこちら。






木材も、加工した場所も、

一切ヨーロッパとは関係ないギターですが、

個人的にはこのギターからは、

イタリアの空気を感じます・・・



実際はさいたまの空気ですが(笑)




ただ、このギターからどんな空気を感じるかはともかく・・・








美しい。

ただひたすら、美しい。


そうは思いませんか・・・?



いい言葉が浮かびませんし、

写真ではなかなか伝わりづらいですが、

弾くのをためらうほど、

オーラを纏っています。









特にこの、サイドからの神々しさ・・・


もし、アナタが最も美しいと感じるギターはどれですか?

と聞かれたら、



「はい、我が家にあるこのギターです」



とドヤ顔で答えてしまいそうです。

(ああイタい)




ここまで圧倒的かつ普遍的な美の化身であるこのギターに対して、

もはや音がどうとかそんな些細なことはどうでもいい

のですが、

残念ながら・・・

















音も素晴らしい。












まあ、ぶっちゃけ音は演奏次第な面もあるので、

そのギターが単体で実力を発揮できるのは、

むしろルックスにおいてなんじゃないか・・・

と身もフタもないことを言ってしまいそうですが、

それを踏まえても、

コイツは音も本当に素晴らしい。


巷やネットで騒がれる、

いわゆる“鳴っている”ギターはあらかた試してきたつもりだし、

そのなかでこれは!と思えるものは、

ほぼすべてゲットしてきた私ですが、

これは飛びぬけています。

完成してから数日で受け取ったのですが、

その時点で既に古楽器かというような音。

これを弾いたあとでは、

ヴィンテージやマスビルも、

取るに足らない味気ない楽器に感じてしまいます。












ウソです、言い過ぎました、このギターを弾いた後でも、優れた楽器は優れた音に感じます。








・・・でも、それぐらいのポテンシャルを持っている、

ということで。







ただ・・・









一切テレキャスターの音はでない(笑)







基本的には、

甘いトーンを持っています。

近年のテリーのジャキジャキした音や、

最初期のぶっといカントリー風の音は、

ほとんど出ません。


甘く、とろけるようなサステイン、

それにも拘らず、豊富な艶がまとわりついてきます。

ミッドは立体感があり、ソリッドにありがちな薄さとは無縁、

そしてローは、透明感のある深い響きがあります。


まさに、目指していたトーン。


ずっと追い求めながらも手に入らなかった、

理想の音が、ようやく実現できました。



これさえあれば、

他のギターは要らない・・・


まさにFemme fataleという名前のとおりのギターです。













残念ながら、ほかのギターもいりますけどね。












おわり


















・・・としたいですが、

怒られそうなので、

些末ながら仕様の詳細を一部だけ(笑)










このギターのポイントのひとつ。

ボディが積層構造になっています。

上から、メイプル、スプルース、マダガスカルローズ、アッシュです。

実はボディ内部は一部ホロウ構造になっており、

音に立体感を加えています。

ただ、それによるローやサステインの欠如といったデメリットを、

ネックを支え、ボディ全体を貫くマダガスカルローズが、

抑える、というより寧ろ通常のギターより増す効果を担っています。

ちなみに、ルックス面でも、

サイドのラインが、アクセントになっています。









ポイントの2。

これは以前紹介したのでここでは詳細は割愛しますが、

このギター用に作って貰ったピックアップを搭載しています。

グラッシーといえば聞こえがいいですが、

下品にもなる耳に痛いトレブルを、

カバーがうまく抑えてくれています。

ただ、そのことによる艶の欠如は、

特別なワイヤーで可能な限り抑えています。

更に、ピックアップの位置をテリーからずらし、

倍音を豊富に拾うようにしています。

塗装がゴールドなのは、

ルックス面も大きいですが、

音への影響も考慮しています。

テリーにありがちな線の細さは、

その小ささに由来していますが、

これも特別なポールピースを使用することで、

立体感を感じるまで厚くし、

サステインの向上にもつなげています。

ただ、リアはそれでも限界があるので、

ハムタイプを採用。

センターがフロントと同仕様なのは、

完全にルックス重視です(笑)


ちなみに、それらをつないでいる配線材は、

これまたこのギター用に選んだもの。

PUや場所によって変えているので詳細は割愛しますが、

最も新しいものでも戦前のものを使っています。










指板はエボニー。

豊富なサステインは、ここにも由来します。

エボニーのキャラは結構強く、

上品で、少しウェットなトーンになります。

これに比べると、ローズは随分派手。

メイプルはいわずもがな、です。


なお、色々こだわったせいで予算が膨らんだため、

ポジションマークを省くことで、

25%のコストカットも実現しています。

(個人の感覚によるものです)








ポイント3、ボディだけじゃなく、

ネックもラミネートされた材を使用しています。

ネック材は、何よりも動かないことが前提で、

動きまくるネックのギターなんて不良品以外の何物でもありませんが、

優れた音を追求するのであれば、

剛性の高さも重要になります。

それで、10年くらい剛性を追い求めてきたのですが、

硬すぎてもダメなんじゃないか・・・?という結論に、

ようやくたどり着き(笑)、

その結果として考えたのがこの仕様です。

ちなみに、2本のスカンクラインに見えるのは、

エボニーです。

それ以外の部分はフレイム杢のハードメイプル。

通常のスカンクラインと違って、

完全に5層に別れているので・・・








ヘッド側にもラインが見えています。

裏はレッドですが、

こちら側はブラウンに着色しています。

ですが、ボディはオレンジなので、

マッチングヘッドならぬ、

ヘッドだけマッチングしてないよヘッドです。


ちなみに、とてもマニアックなPGMユーザーならわかりますが、

ロゴのステッカーも多少特別です(笑)


例によってナットは象牙、

ペグはゴトー製。








塗装のMさんが、

がんばってくれたボディ裏。

私の無茶ブリに、

予想以上のクオリティで答えてくれました。

ちなみにイメージしていたのは、

イタリアの古い革製品です。

その雰囲気が、でていますよね・・・?








最後になりましたが、

ボリュームとトーンのノブも、

このギター用に作って貰いました。

nobuだけに、ね。


ちなみに、PUセレクターも。

小さくてわかりづらいですが、

スポルテッドタイガーオーク製です。


兵庫のIKMさんで作って貰いました。


なお、エスカッションも木製ですが、

こちらはPGMで削り出し。

美しいローズを見つけたので、

それを使って作って貰いました。







以上ですが・・・、



あ~~~長くなった!(笑)


とうぶんギター紹介はおなかいっぱいですね。







おわり。