ギターをめぐる冒険 ~Nancy渋谷店~ | ギターの話である。当然のことながら。

ギターの話である。当然のことながら。

とっても解りやすい、エレクトリックギターに関することを書き綴ったブログです。
趣味であるヨーロッパやフェラーリのことにも触れたり触れなかったり。

さて。
このギターをめぐる冒険も第4回を数えることになった。
しかし、相変わらず渋谷からでることはできない。

次に訪問したのは、Nancy渋谷店さん。
国内有数のヴィンテージギターショップの支店だ。

フーチーズで長いしすぎて、
もう日は暮れてしまっている。
この時間に見るこの店は・・・
う~ん、禁断の地に見えるな(笑)

とはいえ、ヴィンテージも見ておかなければ!
意を決して死地に飛び込む。

店内は、なんともいえない年季の入った雰囲気。
店としてはそんなに古くないはずなのに、
もう何十年もやっている感じがする。

店員さんが一人と、明らかに常連さんが一人。
私とP氏が入っても、
基本的に相手にはされない。
いらっしゃいませ・・・ってすら言われなかったような?(笑)
この雰囲気・・・大阪の某ア○ックスと似ている気がする。

店内をじろじろ物色。
所狭しとヴィンテージギターが並べられている。
というか狭い。
うっかりこけたら、大変なことになりそうだ。

10分ぐらいひたすら物色していると、
さすがに客だと思ってくれたのか、
店員さんが相手をしてくれた。

N「どんなギターをお探しですか? まだ奥に色々老いて置いてますからね~」

どんなギターと言われても・・・
ストラトならなんでもいいんだが。

N「普段はどんなギター、弾かれてます~?」

・・・きた、この質問!
一番返事に困るパターンだ。
PGM、なんて言っても微妙な顔しかされないし、
え、ポールギ○バートモデル?なんて言われた日には、
一から色々説明しなきゃいけない。
だいたい、音のイメージにはまったく繋がらない。
かといって、フェンダーを少々・・・なんて言っても、
これまた話が続かない。
めんどくさくなって、適当トークをしてみた。

n「(貸して貰って)最近(ただし30分ほど)弾いてるのは、(鋭意☆さんの)54年のストラトかな」


・・・・

・・・・・

・・・・・・( ̄_ ̄;)


あ~~~~~まさに人のふんどしで相撲をとったぞ!!!
鋭意☆さん、ごめんなさい~~~~~(笑)


しかし、この一言で店員さんのヤル気が俄然でてくる。
まあ当然か(笑)
しかし、音の好みは伝わったようだ。

N「じゃあこちらの55年も試してみます? 一本一本音が違いますからね~」
n「い、いや、次はアルダーがいいな・・・」
N「そうですか。ではこの62年は? 珍しいハードテイル仕様ですよ」
n「おお、それは気になる! 是非弾かせてください」
N「どうぞどうぞ」
n「ではでは・・・」

ギターの話である。当然のことながら。


ギターの話である。当然のことながら。

ジャラ~~~~ン


n「おおおおお、めっちゃ好みだ!
 きちんと鳴ってるし、ハードテイルがヴィンテージの木材の面白さをさらに引き立てている!」
N「ふふふ、いいでしょ? ナットとフレットが交換済みなので
 お値段もお手ごろですよ」

ちなみに、ウィンターセールとやらで125万円。

n「うんうん、確かにこの年代でこの音、それで125万はお買い得ですね~~」
N「演奏に使いたい人は、こうやってリペアされてるほうがいいでしょ?」
n「ですね~ 下手にオリジナルだと、手を入れていいかな~って一瞬躊躇しますよね」
N「そうだね。カネもかかるしね」

まさに即戦力って感じのギターだった。


n「そういえば、最近はヴィンテージも随分値段が下がりましたよね。
 不景気のせい?」
N「う~ん、基本的には為替差異のせいかな」
n「随分下がりましたもんね、米ドル」
N「うちはその分販売単価下げて、お客さんに還元してるからね~」

ここで、面白い話を聞けた。
いや、ヴィンテージ好きなら当然の話なのかもしれないが・・・

N「もう30年お店やってるけど、ヴィンテージって値段下がったことがないんだよね、アメリカでは」

えええ? 結構下がってない?

N「下がっているのは、投資目的とか、よく解らずに買っちゃったやつとか、そういう類。
 ほんとにいい音のするヴィンテージは、下がってないんだよ。
 例えば、レスポールなら3000万。今も昔も3000万だよ」
n「じゃ、じゃあ、最近お手ごろ感が出てるギターは、もしかして・・・」
N「うん。ま、そういうことです」

こら! それはこっちのセリフ・・・(`Д´)

n「ちょっとまって。じゃあこのハードテイルのストラトも・・・?」
N「いや、さっきいい音してたでしょ?
 そういう意味で、お買い得なんですよ」
n「う、たしかに・・・」
N「ヴィンテージは、人との出会いみたいなものだからね。
 一本一本全然表情が違う。
 そのギターでしか出ない音がある。
 自分の好きな音を出すヴィンテージに出会えたら、
 その出会いを大切にしないとね」

くう~~~、良い事いうなあ、このオッサン!
ううう、だめだ、このままでは、思わず、
「買います!!!」
って言っちゃいそうだ。

もじもじしていると、店員さんは名刺を取り出し・・・
N「あ、ちなみに、こういうモンです」

・・・k田・・・さん?

・・・

・・・・

・・・・・

社長じゃん(笑)

n「あれ、もしかしてk田さんですか?」
N「そうですよ」
n「おお、CDも持ってますよ!(ただしコピー)」
N「おや、それはありがとうございます^^」
n「なじみのお店の店長さんに勧められたんですよ~ すっごいいい音ですよね」
N「あれ? その人ってもしかしてア○ックスのA社長?」
n「ええ、そうですよ~ いつもお世話になってます」
N「おおおおお! A社長はイシバシ時代の先輩で、すごくお世話になった人なんですよ~」
n「へ~~~~」
N「たまたまナゴヤのお店に寄ってくれたときも、ウチのアンプ気に入ってくれて、
 これすぐ送れ、大阪で売るから!って言ってくれたんですよ~~」
n「あ~~~知ってます。突然電話掛かってきて、
 凄いアンプがあるからすぐおいでって言われたんですよね(笑)」
N「へえ~~そうだったんですか~ あの人押しが強いもんなあ・・・」

ひとしきり昔話に花が咲く。

N「世間は狭いですね~」
n「そうですね~」
N「わかりました! A社長のお得意さんなら、おまけします!」
n「へ?」
N「○○○万・・・いや、○○○万でいいです!」

n「え、えええええええええええええええええ!!????」

N「ただし、ウチは営業日今日までなんですよ」


n「え、え、えええ、ボクはいったいどうすれば・・・」




・・・この後、P氏ともども、命からがら逃げ出したのは
言うまでも無い。
しかし、あれはいいギターだった・・・


次回は最終回、P氏宅に訪問します。