性犯罪に遭った後、最初に起こったのは不眠でした。

なんだか寝付けない…。この時点で精神科に行ったけど、どんどん症状は増えていきました。

とうとう物忘れがではじめ、電話をとっても電話を切るころには誰とどんな会話をしていたか忘れるようになりました。私は付箋メモをし、バインダーに張り付けて持ち歩く生活をするようになりました。

私は今までの私がなくなっていく恐怖を感じていました。

精神科のお医者さんに相談すると、『強いストレスを受けて、記憶に関わる海馬の萎縮がおきているのが原因だよ』と教えてくれました。そして、

『だから、それは君がおかしくなっているわけじゃないんだ。』とも言ってくれました。

その一言が私の救いでした。

私は頭が“おかしくなった人”、ではなく“当たり前の症状が出ているだけの人”でした。

記憶障害は一過性で徐々に収まっていきます。それでも、職場で隠し通せるようなものではなかったし、できたことができなくなるということはこんなに怖いものなのか、と知りました。

結局私は医師や上司に相談し、仕事を休むことになりました。

当事者が一番“自分の違和感”に苦しんでいるのは間違いありません。

大変なことが起こった中で頑張って生活しているのですから、楽な仕事にしてもらったり、休んだりしてもよいのです。あなたはおかしくない、でも頭が疲れているので休むことも必要です。