故郷の避暑地、今ではもうダムの湖底に沈んでしまった村の川岸に皆が集まっていた。
祖父や祖母も両親も妹もいた。皆、今より30歳ほど若い。
妹にいたってはまだ小学生のようだった。
70年代に流行ったような真っ赤なハイネックのセーターを着ている。
父は真ブルーの伸縮するデニムを履いていたので、まるで色で男女を表すトイレのタイポグラフィーのようだと笑った。
「そう表現するのは営みが久しぶりってことなのよ。」と母が言った。
営みなど暫くご無沙汰なのに…そう思っていた。
いつの間にかバスにのっていたようで降りると、あの頃と変わらない姿で懐かしい同級生が歩いていた。
元の世界では9年前に癌で亡くなっていた筈なのだが…
そんなことは噯にも出さずに声をかけるとあの頃と変わらない笑顔で答えてくれた。