劇的な勝ち上がりで決定戦まで勝ち上がってきた東京Vの勢いが、悲劇的な結末でこの試合に回った磐田を飲み込んでしまう――。そんなシナリオも十分に考えられた。しかし、両者の間には、確かな実力差が存在していた。今季、J1で戦ってきた意地を示した磐田が、東京Vの挑戦を退けて、J1残留を果たした。
いつものように丁寧なビルドアップから攻撃を組み立てようとする東京Vに対し、磐田はハイプレスを仕掛けて、それを阻止する。いい形でボールを入れさせず、逆に奪ったボールはシンプルに前に運んで、相手陣内でのプレー時間を増やしていく。
もっとも東京Vの堅守を打ち破れず、もどかしい展開に陥っていた。大久保 嘉人や山田 大記のシュートも枠をとらえきれず、決定的な場面までは生み出せなかった。
しかし、前半終了間際に均衡が破れる。山田のスルーパスに反応した小川 航基がエリア内に侵入すると、相手GKに倒されて、PKを獲得。これを小川 航基が自ら決めて、磐田が待望の先制点を手に入れた。
「PKを決めてから、相手はより自信をもってプレーしていたように感じた」
東京Vのロティーナ監督が振り返ったように、このゴールが磐田の戦いを楽にしたことは間違いなかった。
後半に入ると、東京Vにボールを持たれる時間が増えたが、無理にボールに食いつかず、バランスよく守備組織を保って、落ち着いて相手の攻撃をいなしていく。隙を見てはカウンターを繰り出して、追加点を奪う姿勢も示し続けた。
そして迎えた80分、エリア手前で小川 航基が倒されてFKのチャンスを得ると、田口 泰士が壁の間を抜く絶妙なキックをゴール隅に叩き込み、2-0。これで勝負はほぼ決着を見た。
勝利のためには3点が必要となった東京Vは、なんとかチャンスを生み出そうと奮闘したが、余裕が生まれた磐田の守備を崩すには至らない。5分のアディショナルタイムにも、ドラマティックなシナリオは描かれず、2-0のままタイムアップの笛を聞いた。
今季のJ1で苦しんだ磐田だったが、重圧のかかるこの一戦で、本来の力を十分に発揮した。東京Vに付け入る隙を与えない、まさに快勝劇で、苦しんだシーズンを笑顔で締めくくっている。


