14)後述(ハイタワー | 岩感の正体

岩感の正体

全成俯瞰全

本日の栄ミナミ音楽祭は大変な雨のなかではありますが、予定通り16:30よりステージ行いますCD、グッズ共にご用意しておりますので、ライブ後にお声かけいただければと思います。宜しくお願いいたします!

【会場変更のお知らせ】本日雨天のため、一部会場が変更になったバター!お間違えないようホームページをチェックするバター!よろしくバター!
 6.あべのハルカス⬇︎
 11.近畿大阪銀行あべのば

 9.10.てんしば⬇︎ 
12.バリタワー

両チームの指揮官の思惑が交錯したゲームだったといえるだろう。
だからこそ、試合後の監督会見は実に興味深いものだった。
勝利した吉田孝行監督は3点目以降が取れなかったことを問題として指摘したものの、準備してきたサッカーを遂行してくれた選手を素直に称えていた。
これに対して磐田を率いる名波浩監督は、これまた素直に敗北を認めた上で、ヴィッセルのフォーメーションや戦い方が予想外であり、それに対応できなかったことを敗因の一つとして挙げた。
要は吉田監督の戦い方が、磐田のスカウティングの裏をかいた格好であり、吉田監督にすれば「してやったり」といったところだろう。

 名波監督は会見の最後に、「ヴィッセルのウェリントンと渡邉千真、FC東京の永井(謙佑)とディエゴ オリヴェイラ。この2チームの2トップというのは、日本でトップじゃないかなと。この2トップでやっていれば良かったのにということを(吉田)孝行に一言伝えてきました」と話して報道陣を笑わせたが、これは本心でもあったと思う。
確かにこの試合で見せたウェリントンと渡邉の関係性は素晴らしいものだった。
両選手とも互いの距離感を意識しながら、攻守両面で相互補完の関係を構築していた。
この試合で吉田監督が採用したフォーメーションは4-4-2。
昨季までのヴィッセルのメインともいえる布陣ではあるが、今季は殆ど見られない形でもある。
その上で、2トップの裏を積極的に狙っていった。
これが磐田にとっては、全くの予想外だったようだ。
過去の試合から、ヴィッセルが細かくパスを繋いでくると予想していた磐田の選手は、予想外に球離れが早いヴィッセルの動きに翻弄されていた。
最後までヴィッセルが主導権を握り続け、危なげない勝ち試合ではあったのだが、この戦い方について報道陣の中からは、「ヴィッセルが現実的な勝点を求めて、理想を捨てた」という声も聞かれた。
果たしてそうなのだろうか?

 ヴィッセルが今季からポゼッションサッカーにシフトすることについて、キーワードとして「バルセロナ」という言葉が一人歩きしているように感じることがある。
ここで我々はもう一度、三浦淳寛スポーツダイレクターの言葉を思い出す必要がある。
1月に行われた新加入発表記者会見の席上、三浦ダイレクターは、従来のヴィッセルのスタイルを認めた上で、「それにプラスして」ゲームを支配しながら相手を動かすスタイルに少しずつ変えていきたいと口にしている。
そこで最終的に目指すスタイルとして「FCバルセロナ」という言葉を口にしているが、これは聞いている人にイメージしやすくするための象徴的な意味合いである。
しかし一部メディアや評論家などが、面白おかしく「バルセロナスタイル」と安直な表現を使うため、ヴィッセルのサッカーは誤解されている。
 そもそもバルセロナ自体が、時代に応じる格好で、細かな部分でスタイルは変化しており、必ずしも「不変」というわけではない。
グァルディオラ監督就任時には、ハイプレスを仕掛けてくる相手に対して、ビジャとペドロの両ウイングに裏を狙わせる形で得点を量産していたが、やがて相手が「バルサ対策」としてポゼッションに付き合うことなく、ゴール前を固めるようになると、今度はネイマールやアレクシスを獲得してドリブルでの突破を狙うようになった。
2015年のUEFAチャンピオンズリーグ決勝では、ユヴェントスに対してカウンターから得点を重ね勝利している。
この試合では先制点を奪ってからはポゼッションを高め、ユヴェントスの中盤のスタミナを奪っていったが、やがて同点に追いつかれるとカウンター攻撃から2得点をあげ、再びポゼッションを高めゲームを締めた。
この試合でバルセロナのポゼッション率は61%。
巧みに戦術を使い分けながら、ボールを回す時間帯と回させる時間帯をコントロールしたというべきだろう。
同大会の準決勝では、バルセロナのポゼッション率が相手を下回った。
それについて尋ねられたルイス・エンリケ監督が、「ポゼッション?試合に勝ったのだから関係ない」と返したのは有名な話だ。

 ヴィッセルがバルセロナを目標としたのは、ポゼッションを高めることが一義なのではなく、自分たちでゲームをコントロールして勝てるチームになるという意思表示だ。
ここを誤解している評論家は、意外に多いように思う。
そこを正しく理解していれば、磐田戦の勝利について「理想を捨てた」などという表現は出てこないように思う。
寧ろシンプルに相手の裏を狙いながら、トータルでのポゼッションでは55%を記録したこの試合こそ、「バルセロナ」に一歩近付いたといっても良いようにすら思える。
その意味では、この日のヴィッセルの戦い方を「ポゼッションサッカーを半分くらい捨てた」と表現した名波監督は、ある意味でこの試合の本質を理解している。
過去の試合に比べれば、ショートパスを繋ぐ回数は少なかったかもしれないが、この試合で見せた戦い方も、ヴィッセルのサッカーの一つであるということだ。
重要なポイントは渡邉が試合後に口にした通り、繋ぐところと蹴るところの使い分けであり、この試合ではそれを巧く表現できたが故の勝利だと、筆者は理解している。

 ここ数試合で吉田監督は、「アタッキングサードでの崩し方」という言葉を頻出させている。
これは言い換えればルーカス ポドルスキなしで如何に崩すかということと同義だ。
実際にルーカス ポドルスキが欠場し、完封負けを喫した広島戦の後、三田啓貴はアタッキングサードでルーカス ポドルスキのパスが欲しかったと語った。
今季のヴィッセルを牽引しているルーカス ポドルスキはアタッキングサードで相手守備ラインの外からドリブルで仕掛けたり、密集の中でパスを狙ったりと、様々な崩し方を見せている。
同じ役割を担える選手はいない中で、吉田監督は広島戦では大槻をワントップに置き、2列目に渡邉、郷家友太、佐々木大樹を配することで、大槻の作り出すスペースを複数人で攻略する方法を試みた。
しかし、このチャレンジはリトリートして守る広島ブロックを崩すには至らず、痛い敗北を喫した。
そこで吉田監督が磐田相手に用意したのが、この試合で見せた「裏を狙う」戦い方だ。
ここでポイントとなるのはウェリントンだ。
スピード・スタミナ・高さのあるウェリントンを入れることで、ある程度ラフな狙いでも有効な手段となってくる。
しかも磐田はラインを上げてくる傾向があるため、最終ラインの裏側にはスペースができやすい。
となればこの日見せた戦い方は意外でも何でもなく、当然の帰結点だったのだ。

 磐田の守備は、サイドを高く上げることでヴィッセルを押し返そうとしていたが、そこが上がり切る前にヴィッセルがそのスペースを衝いたことで、結果的にそこを上がろうとしていた選手とその横の選手がそれぞれ守ろうとして、結果的には混乱をきたしていた。
最も肝心なのは、この攻撃方法についてヴィッセルの選手間で共通認識があったという点だ。
シンプルな上に共通認識があるため、プレーには澱みがなく、スピード感のある攻撃が展開された。
裏を狙ったパスというと、過去のヴィッセルの戦い方と同一のように思われるが、そうではなかった。
以前は中盤や後ろから裏を狙うため、精度が低く、そのボールが相手のカウンターの起点となってしまうことも少なくなかった。
しかしこの試合で見せた攻撃は、確実に狙える位置までは自分たちでボールを運んでいる点が違っていた。
そのため前へのボールは、ほぼ確実にウェリントンや渡邉を捉えており、そこからのセカンドボールもヴィッセルが拾うことが多かった。
逆に磐田はヴィッセルの攻撃への対処が続き、中盤が間延びしていたため、セカンドボールに反応できる選手が少なかった。



 内容的には完勝といっても差し支えない試合ではあったが、いくつかの分水嶺はあった。
その最大のものは9分のプレーだ。
川又堅碁がカウンターで抜け出そうとした場面で、川又についていた渡部博文が転倒した場面だ。
ここで最後の砦となったチョン ウヨンの守備は、チームを救った。
スピードに乗って走りこんできた川又に対して、落ち着いて粘り強く対応し、シュートコースを切り続けた。
そうして時間を作ったことで、藤田直之の戻りを待つことができた。
ここでチョン ウヨンが、ボールを奪うような守り方をしていたら、失点した可能性は高い。
チョン ウヨンの優れた状況判断が光った。
もしここで失点していたとすれば、ゲームはどう転んだかわからなかった。
この直後に先制点が生まれ、ゲームの流れが確定したことを思えば、このチョン ウヨンの守備こそが勝利の立役者と言っても過言ではない。
古巣のサポーターに、成長した姿を見せたチョン ウヨンだが、磐田サポーターはその姿に驚いたのではないだろうか。
かつてのチョン ウヨンは、身体能力は高いが、守備に安定感がないと評されていた。
それが今では、本職でないセンターバックすらも完璧にこなすだけの幅を身につけている。
川又とのマッチアップでは、何度も切り返しながらそれをかわそうとするなど、器用な動きも見せた。



 このチョン ウヨンのビッグプレーの直後、先制点を決めたのは渡邉だった。
10分に得た右コーナーキックをニアサイドの田中が頭で合わせた。
これはバーを叩くが、そのこぼれ球に両チームの選手が競り合い、それが落ちたところを渡邉がゴールに突き刺した。
ボールが跳ねた瞬間を狙うライジングショットのようなシュートだったが、綺麗にボールの中心を打ち抜いた。
渡邉のこのシュート技術はさすがだ。
この得点は、磐田の守備陣の不安を増大させたという意味でも、意味のある大きなゴールだった。
この試合で磐田のゴールマウスを守ったのは三浦龍輝。
守護神のカミンスキーが試合当日になって腰痛を発症したため、急遽出場となった。
既にリーグ戦の出場経験もあり、YBCルヴァンカップでは主力として出場している三浦ではあるが、守備の選手にとってはカミンスキーという絶対的な守護神との比較では不安が残る。
この渡邉のゴールシーンでも、田中のシュートがバーに当たった後の競り合いに入っていっているのだが、そこで触ることができなかった。
鉄則から言えば、GKが出た時には、最低でもボールを弾かなければならない。
この場面では、三浦が出た時には磐田の守備の選手が跳んでおり、実際に触ることは難しかったと思われるが、守備の選手からするとカミンスキーとの比較で不安に陥ってしまう。
GKと守備の選手は試合の中で連携を作ってくるためだ。
そのことが、どんな状況であっても、「いつものGKだったら」というエクスキューズを守備の選手に与えてしまうのだ。
そういった意味でも、この渡邉のゴールは大きかった。
さらに渡邉は2得点目にも絡んでいる。
右サイドにこぼれたボールに対し、最後まで追い続け深い位置でキープし、大槻に渡している。
この渡邉の頑張りから、2得点目は生まれている。



 その2点目をアシストした大槻の働きは、特筆すべきものだった。
アシストの場面では、左足から綺麗にファーサイドへ高質なボールを蹴りこんだ。
試合後、ウェリントンとの間で、大槻が得意の左足で蹴る際にはウェリントンがファーサイドへ走りこむという約束があったことが明かされたが、コース、スピードとも完璧なキックだった。
ワントップで起用されることの多かった大槻だが、サイドプレーヤーとしても面白い存在だ。
相手がサイドを衝いてくる場合には、アップダウンを繰り返しながら守備にも奔走できる大槻は存在感を増すだろう。
この試合でも、何度も自陣まで戻り、サイドバックの高橋峻希との連携で、相手の攻撃の芽を摘んでいた。
今季の大槻を見ていると、技術面が上達しているように思う。
元々走力やスタミナは傑出していたが、そこに足もとの技術が加わってきたようだ。
「取る役」が多いヴィッセルの攻撃陣において、「取らせる役」をこなすことのできる大槻は貴重な存在だ。



 もう一人触れないわけにいかないのが三田だ。
毎試合書いていることではあるが、この試合でも攻守両面で顔を出し続けた。
この試合での走行距離は、両チームを通じてトップだった。
スペースを見つけ、そこでボールを握り次の展開に持ち込むことのできる三田のサッカーセンスは、並外れている。
相手のマークも厳しいが、球離れがいいため、接触を最小限に抑える技術もある。
もちろん、球を離す前に味方の位置を確認しているため、確実に味方にボールを預けている。
昨季までは対戦相手としての認識だったため、それほど注目していたわけではないが、改めて見ていると、本当に素晴らしい選手だとの思いが強くなる。
今やヴィッセルに欠くことのできない選手であるだけに、ケガや無駄な警告には気をつけてもらいたい。

 ヴィッセルの良いところが目立った試合ではあったが、課題もある。
吉田監督も口にした通り、3点目が奪えなかったことだ。
後半もチャンスは何度も創出できていたが、ラストパスの精度を欠いていた。
一度は藤田がボール奪取からカウンターで前に抜けたが、右サイドへのパスがズレてしまいチャンスを活かしきれなかった。
このように高い位置でボールを奪う場面は少なくなかっただけに、もう少しラストパスの精度にはこだわって欲しい。
特にカウンターでサイドの選手に渡す時には、角度をつけすぎないように注意して欲しい。

 もう一点言うと、サイドでボールを繋いだ際、クロスを選択するのが早すぎる。
相手の守備陣形が整っていないならば、それでもいいのだが、守備陣形が整っている中では、逆にカウンターの起点となる危険性がある。
もっとグラウンダーでマイナス方向に戻すようなプレーを意識して欲しい。

 攻撃ということで一人注文をつけたいのが、途中交代で出場した増山朝陽だ。
3日前のYBCルヴァンカップでは、停滞するチームの中、一人気を吐いていた増山は、その好調さを買われ、この試合でも出場機会を得た。
動き自体は良かった。
何度も相手陣内で効果的な仕掛けを見せ、一度はゴールを奪ったかと思ったが、これはオフサイドだった。
増山への注文は、プレーそのものではなく、落ち着いてほしいということだ。
リーグ戦で結果を出したいという思いはわかるが、その思いの強さがプレーを硬くしてしまっているように思う。
技術やフィジカル面での問題はないのだから、自信を持つことさえできれば、結果は付いてくるだろう。
かつてのスーパールーキーもプロ4年目を迎えた。
今は焦りもあるだろうが、そこを克服しないことに次のステップへは辿り着けない。

 長かった15連戦も終わりが見えてきた。
中3日でのYBCルヴァンカップを挟んで、中断前最後の対戦相手は札幌だ。
新監督の元、好調なスタートを切っている札幌は、「タイのメッシ」と呼ばれるチャナティップを筆頭に、良い選手は揃っているが、それがヴィッセル以上かと尋ねられれば、答えは断じて否だ。
そんなチームが上位にいるのは、やることが徹底されている強みだろう。
ここまで敗戦を喫しているチームは、心のどこかで札幌を侮っていたのか、自由なサッカーで勝負してしまっていたように思う。
例え個人レベルでの差はあったとしても、それがゲーム結果に素直に反映されないのがサッカーだ。
ヴィッセルがどのような戦い方を見せるかは判らないが、兎に角自分たちのやることを明確にして、それを徹底して欲しい。
そうすれば負ける相手ではない。
札幌に勝利し、上位との差を詰めた状態で中断期間に入ってほしい。
そして中断明けには、一気に上位陣を捉えるほどの勢いをつけて戦って欲しい。


今日の一番星 
[ウェリントン選手]

この試合はウェリントンの試合だった。そういっても過言ではない程の活躍振りだった。この試合でウェリントンが記録したスプリント回数は、両チームを通じてダントツの39回。2位の新里亮が21回ということから考えても、一人だけ異次元の動きだったことが判る。得点シーンでは右サイドの大槻からのクロスをファーサイドで頭に当て、ゴール左の狭いスペースへキッチリと流し込んだ。得点シーン以外でも、高さ勝負では磐田の選手を遥かに凌駕していた。どんな体勢からでも競り勝ってしまう高さは、相手選手にとっては厄介この上ないことだろう。こうした高さ以外にも、中盤近くまで落ちて、後ろからのボールを足もとに収める技術もある。そのため、縦のパスに対しても目標となれる。試合終盤まで守備にも貢献できる献身的な動きなど、チームにとってはありがたい存在だ。タレント揃いのヴィッセル攻撃陣の中で、確実に存在感を増しているウェリントンに文句無しの一番星。