皆様、いつもありがとうございます。


数日前の朝日新聞に、「薬の効かない慢性痛、関与のたんぱく質発見」という

タイトルで京都大学の研究・発表記事が掲載されていました。

今日見てみたら、ネットでもアップされていました。

アドレスは以下。

http://www.asahi.com/science/update/0317/OSK201203160236.html


京都大学による元の発表記事は以下です。


http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2011/120315_3.htm ーーーー


ーーー上記、大学の記事より一部転載

(新聞では一般向けに書いてあるので、そちらのほうがわかりやすいです、TRPM2はタンパク質の名称)ーーー


(前略)


 今回、私達は、

好中球、マクロファージやミクログリアといった痛みの慢性化に関わる免疫系細胞に存在し、

活性酸素種のセンサーとして機能しているイオンチャネルであるTRPM2(トリップエム2)の働きに注目し、

TRPM2を遺伝子操作により欠損させたマウスを用いて、

慢性痛、特に炎症性疼痛や神経障害性疼痛との関連を検討しました。


(中略)

まず、TRPM2遺伝子欠損マウスを用いて、

圧や熱による痛みに対する正常時の応答(侵害受容応答)を検討しましたが、

いずれも変化は見られませんでした。

このことは、TRPM2は生理的な痛み(急性痛)には関与しないことを示しています。


ところが、炎症を引き起こす物質をマウスの足の裏に投与した時に見られる炎症性疼痛や、

マウスの末梢神経(坐骨神経)を細い糸で結紮し、

人為的に損傷させた時に見られる神経障害性疼痛は、

TRPM2遺伝子欠損マウスでは消失することを発見しました。


このとき、炎症部位や神経損傷部位周辺では、

TRPM2の量が顕著に増加していること、

また、通常ならば多数の好中球やマクロファージが浸潤し、

炎症応答を引き起こしているのですが、

TRPM2遺伝子欠損マウスでは、マクロファージの数は変わらないものの、

好中球の数が減少しており、

さらに、好中球の浸潤を促すケモカインと呼ばれる因子の一つである

CXCL2の量が減少していることを見出しました。


また、このCXCL2は主にマクロファージから産生されており、

TRPM2が関わっていることも確認しています。


すなわち、TRPM2は、炎症時あるいは末梢神経損傷時に

マクロファージから産生されるCXCL2の産生、

およびそれに引き続く好中球の浸潤に関与し、

末梢神経の過敏応答(末梢神経感作)に関わっているのではないかと考えられます。


さらに、神経障害性疼痛時に脊髄内で見られるミクログリアの活性化も、

TRPM2の遺伝子欠損により消失することも明らかにしました。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー以下略ーーーーーーーー

いつになるかはわかりませんが、

慢性疼痛に少しでも効く薬が開発されるときが来て欲しいものです。