今回は、病気とは関係ない趣味の本の紹介です。
先日、医師から「あんまり病気関連の本はしばらくやめたほうがいいかも」と
言われて、「じゃあ、それなら」、と思い出したように小説を読んでいます。
上記タイトルの『決壊』は、平野啓一郎さんがデビューから10年たった2008年に
執筆した作品。
デビュー作の『月蝕』があまりにも難しすぎて、途中断念してしまった私。
あれから10数年、カレの作品はどうなってるんだろう、と思い出したように読んでみました。
モチーフは、神戸バラバラ少年連続殺人と、9.11テロで、ところどころかなりえぐい?内容なので
精神的に不安定な方はやめたほうがよろしいかと^^;。
たとえば、
バラバラにするときの内容が細かく書かれています(ひえー)。
(病気関連じゃない本といわれて、この本を選ぶ自分も自分・・・)。
夏向けの内容ですね^^;。
ただ、この方、以前も思いましたが、ものすごい精緻な筆致と
取材、調査をしています。
ノンフィクションのようなリアルさ(それがよけいに怖い)で、引き込まれて一気読み。
出てくる固有名詞がすべて実際にある(テレビ局や大学名、地域名、ホテル名など)ため、
今、すぐそこでテロやバラバラ殺人が起きているかのような印象です。
この小説を書くにあたっての参考資料の量も莫大です(巻末より)。
そして、変わらず、ところどころ難しい観念論があります。
このあたり、『月蝕』のスタンスを変えていない気がしました。
ミステリーの部類に入るのかもしれませんが、
今の社会の闇を浮き彫りにしている、そんな印象の1冊でした。