って書くと、金曜日から公開された STAR WARS の番外編「ローグ・ワン」では?と思われてしまいそうだけど、我々が観たかった映画はコレ。
戦時下の広島を描いた物語であり、以前広島に住んでいたことがある我々もぜひ観たいと思っていた。
3週間ほど前に自宅最寄りの映画館でも公開されることを知ったものの、その時点ではわずか2週間程度の限定公開で、仕事のピークと重なって観にいけなかった。
しかし前々週末に確認すると上映期間が延びていた!
(↑おそらく好評価だったんだろうと推測)
相棒の『週末(金曜日の夜)に観に行こうゼ』という提案にのってみた次第。
21時15分からの上映回を予約しており、当初の予定では、それぞれ定時で仕事を終えたら(ドーナツをもらってから)一度帰宅し、それから映画館へ向かうことにしていた。
ところが相棒は残業になってしまい会社を出るのが遅れた。
結局、相棒は帰宅途中に映画館へ直行、こちらは一度帰宅して通勤カバンを置いてから徒歩で映画館へ向かった。
21時に映画館で落ち合って、鑑賞スタート。
「ローグ・ワン」公開初日ながら、こちらも満席。
この作品の人気の高さが伺える。
で、物語はというと。。。
とても良かった。
ジワーッと効く温感湿布のように心に沁みる話だった。
この話で描かれるのは「ヒロシマ」ではなく、「広島」。
そして物語の舞台は広島の中心部ではなく、海軍の軍港がある呉。
物語は開戦前から始まり、主人公の女性・すず が広島から呉へ嫁いでいくことで進んでいく。
戦時下の市井の人々の視線で日々の暮らしぶりを描いており、何でもない日常に徐々に戦争の影が現れ、やがて空襲警報が鳴る毎日になっていく様が丁寧に描かれている。
物語の冒頭ですずが遊びにいくおばあちゃんの家がある地域が自分が住んでいた所だったり、すずが嫁いだ先が遊びに行ったことがある灰が峰だったりしたので、序盤からグイグイと物語に引き込まれてしまった。
意外だったのはアニメだからこそ在りし日の広島の街の雰囲気がとてもよく伝わってきたこと。
※以下、画像は公式サイトから拝借しました。
そして街の中心にある建物は原爆ドームなんて醜いものではなく「産業奨励館」として美しく輝いていた。
こんなに綺麗な街だったんだな。。。
何一つドラマティックに描かれるのはことはなく、当たり前の日常を淡々と描くことで、失われたものがいかに尊いものであったかを感じさせられる。
ほのぼのとしたタッチの絵で、直接的に悲惨な描写はほとんどない。
にも関わらず、戦争の酷さ、無意味さは強烈に伝わってくる。
すずの性格は穏やか過ぎるほどで、戦時下であっても笑顔で過ごす毎日が描かれる。
そしてすずが見下ろす呉の海は美しい。
やがて呉にも空襲警報が頻繁に発せられるようになり、防空壕に逃げ込む描写を通じて不穏な空気になってくる。
そしてついに呉も空襲に遭う。。。
すずの穏やかな日々が転じていくことで我々も戦争に巻き込まれた気分になる。
そして観ている我々はこの先に8月6日があることを知っている。
やがてその日が来るわけだけど、ここでも直接的な描写はなくて、あくまで呉の街からの視点で描かれていた。
そしてその描き方の方がよりリアルに戦争の恐怖を感じられる。
無知な市民が戦争に巻き込まれていく感じは、内容も描き方もまったく違うけど、イギリスのレイモンド・ブリッグスが描いた絵本「風が吹くとき」にも通じるものがあるように思えた。
何も情報がない中、突然やってくる恐怖。。。
我々がアニメ映画を観ることはまずないけど、実写以上に強烈な印象を残すことを知った。
主人公の声はのん(元・能年玲奈)が演じていて、彼女の広島弁がとても活き活きしていて、まるで実在するかのような印象を受ける。
彼女以外の登場人物も愛すべき人たちで、観ている我々もこの街にハマる感じ。
観終わって号泣する類いの話ではないけど、穏やかに心を揺さぶられる。
「怒り」でも「祈り」でもなく、平和の尊さをしみじみと感じる、なんとも愛おしい映画だった。
みんなにオススメ。
観終わったのは23時30分頃。
映画館を出ると空気はキンキンっに冷えており、寒さに震えながら歩いて帰ったのでありました。
次は「ローグ・ワン」だな。




