膠原病

膠原病とは、一つの病気の名前ではなく、共通する特徴をもった複数の病気の総称です。 共通する特徴とは、血管や結合組織に炎症が起こり、それによって体のあちらこちらにさまざまな症状が引き起こされていることです。 結合組織は、主に膠原線雑(コラーゲン)からできています。

 

体の細胞と細胞は、この膠原綿維によって結び付けられ、内臓、血管、関節、皮膚など、体の各部が形づくられています。 膠原病という名前は、この「膠原」という言葉に由来しています。 結合絹織を走っている血l管の外側や内側に炎症が起こると、血流の低下や、にじみ山しを生じ、内臓や皮膚、関節などにさまざまな症状が現れるようになります。

 

血管は全身にあるので、血管の炎症は全身のどこにでも現れる可能性があります。 いずれかの臓器に、また複数の臓器に同時に、あるいは次々と現れる可能性もあります。 膠原病には、一般によく知られている関節リウマチのほか、全身性エリテマトーデス、多発性筋炎一皮膚筋炎、強皮症、シェーグレン症候群などの病気が含まれます。

 

患者数は、関節リウマチが最も多く50万~80万人程度と推定されていますが、そのほかの膠原病の頻度は高くなく、以上のほとんどが女性に多いのが特徴の一つです。

 

リウマチ体験談

私が関節リウマチを発症したのは、出産した38歳頃のことです。 子育てで忙しくてあまり真剣に考えなかったためか、はじめは病院でも単なる神経痛と診断され、鎮痛薬や湿布でしのいできました。 節々が痛い、だるい、眠れないなど体調が悪化し、しだいに歩くのもつらくなったため、大学病院で検査を受け、ようやく関節リウマチであることが判明しました ...
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膠原病の原因と症状

膠原病の原因

いずれの病気も原因ははっきりわかっていませんが、自己免疫疾患であることがわかっています。 自己免疫とは、本来は異物を排除して体を守る免疫の働きに異常が起こり、自分の体内の組織を損傷してしまう状態を指します。 白血球が起こす炎症が損傷の原因ですが、自分の組織を排除することはできないため、白血球の働きは止まらず、炎症が長く続いてしまいます。

 

免疫異常が起こる理由はわかっていませんが、体質や素因にさまざまな環境誘因が重なることが関係していると考えられており、現在、世界中で研究が進められているところです。

 

このような症状に注意

病気の種額によって、症状が起こる部位や現れ方はさまざまですが、関節の症状など、多くの病気に共通して見られる症状もあります。 痛み、腫れ、こわばりなどの関節の症状発疹、レイノー症状、皮膚の硬化などの皮膚の症状、筋力の低下、筋肉痛などの筋肉の症状、発熱、体重減少。 リンパ節の腫れなどの全身症状が、現れやすい症状です。

 

なかでも、関節の症状は、現れ方や程度の差はあるものの、多くの膠原病に共通して見られます。 また、全身性エリテマトーデスでは、両頬にできる螟が羽を広げたような形の蝶形紅斑多発性筋炎では、筋力の低下など、病気によって特徴的な症状が起こることもあります。 以下に主な膠原病の特徴を記載します。

 

関節リウマチ(略称:RA)

関節の炎症による腫れや痛みが起こる(左右対称)。 約50~80万人。30~50歳代に起こりやすい。

 

全身性エリテマトーデス(略称:SLE)

発熱、全身倦怠感、関節、皮膚、内臓などのさまざまな症状が一度に、あるいは次々に起こる。 腎障害が知られているが、障害を受ける臓器や数は人によって異なる。皮膚症状では、紅斑が特徴的。 紫外線に過敏になることがある。 約6万人(特定疾患申請数)。20~30歳代を中心に妊娠可能年齢に起こりやすい。

 

多発性筋炎一皮膚筋炎

筋肉に炎症が起こり、筋力が低下する。加えて、皮膚症状(まぶたの紅斑など)があれば皮膚筋炎。 発熱することもある。筋肉に炎症が起こり、筋力が低下する。 約1.5~2万人(特定疾患申請数)。10~50歳代に起こりやすい。

 

強皮症(全身性強皮症)

皮膚や内臓の硬化、線維化、レイノー症状、関節の痛みや腫れなど。症状の現れ方は均一ではなく、重症になることもあれば、自然に軽決することもある。治療は、ステロイド薬は使わず対症療法を行う。 約1.5万人(特定疾患申請数)。30~50歳代に起こりやすい。

 

現れやすい膠原病の症状

①関節の症状

・痛み ・腫れ ・こわばり

関節の症状は、関節リウマチきはじめ、多くの膠原病に共通する症状。膠原病以外の病気でも起こるが、左右対称の症状が続けば関節リウマチ、変動性ならほかの膠原病の可能性がある。

 

②皮膚の症状 ・発疹 ・レイノー症状 ・皮膚の硬化

膠原病では皮膚にさまざまな発疹が現れる。かゆみはないことが多い。全身性エリテマトーデスでは両方の頬に現れる螟形紅斑、皮膚筋炎ではまぶたに現れる紅斑など、病気によって特徴的な発疹が現れることがある。 手の指先が白から紫に変色し、赤くなって元に戻るレイノー症状は、全身性エリテマトーデス、強皮症、そのほかの膠原病、皮膚の硬化は強皮症で起きる。

 

③筋肉の症状

・筋力の低下 ・筋肉痛

筋肉の症状は、多発性筋炎一皮膚筋炎で起こりやすいが、ほかの病気でも起こることがある。 また、筋力の低下がじわじわ進むと見過ごしやすい。筋肉痛も日常的に運動などで起こりがちなので、病気と思いにくい。

 

④全身症状

・発熱 ・体重減少 ・リンパ節の腫れ

これらのほとんどは感染症の症状であるが、膠原病でも起きるので、検査で鑑別することが必要になる。