リウマチに間違われる病気

最も関節リウマチと間違えられる病気は、 変形性関節症です。

変形性関節症は、老化現象をもとに関節への大きな負荷などが原因となって発症します。関節リウマチが「関節滑膜の炎症」であるのに対し、変形性関節症は「関節軟骨の変性」です。関節軟骨が変性して硬くなり、軟骨がもともともっている弾力性が失われると、関節はからだの重さや機械的衝撃に耐えてスムーズに運動することができなくなります。

無理に動かすと摩擦や抵抗によって炎症が起き、痛んで腫れてきます。変形性関節症の症状は、関節リウマチによく似ています。

 

リウマチ体験談

私が関節リウマチを発症したのは、出産した38歳頃のことです。 子育てで忙しくてあまり真剣に考えなかったためか、はじめは病院でも単なる神経痛と診断され、鎮痛薬や湿布でしのいできました。 節々が痛い、だるい、眠れないなど体調が悪化し、しだいに歩くのもつらくなったため、大学病院で検査を受け、ようやく関節リウマチであることが判明しました ...
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しかし、リウマチでは骨が萎縮して吸収され、なくなっていきますが、変形性関節症では逆に骨が新しくでき、骨が硬くなります。この点で両者は対照的です。指関節の腫れ方も、リウマチでは滑らかな紡錘形でゴムのような弾性があり、指の付け根の関節から指先の関節に向かって進行しますが、変形性関節症ではゴツゴツした硬い木瘤状の腫れかたで、指の先端の関節から始まって二番目の関節まで腫れることがありますが、親指を除き、それ以以上広がって付け根の関節まで侵されることはありません。

 

また関節リウマチは病気が外からからだに入ってくる感じですが、変形性関節症は遺伝的背景が強く、「いくつになったら指の末端関節が腫れてくる」と生まれたときから遺伝子にプログラムされているような感じで、両者は似ているようにみえて実は全くちがう病気です。したがって対応の仕方も治療法も、両者は根本的に異なっています。

 

リウマチ性多発筋痛症

あまり多い病気ではありませんが、「リウマチ性多発筋痛症」という病気も関節リウマチときわめてまぎらわしい病気の一つです。激しい筋肉痛を主な症状とする炎症性疾患で、老人に多く、血沈が高値で、少量の副腎皮質ステロイドホルモン薬によく反応します。

しばしば、リウマチに似た多発関節炎や側頭動脈炎などの血管炎をともないます。関節リウマチとまぎらわしい病気は、ほかにもあります。「強直性脊椎炎」は脊柱の炎症性の病気ですが、リウマチに似た四肢の関節炎をともないます。ひと昔前まで、この病気は「リウマチ性脊椎炎」ともいわれ、背骨のリウマチと考えられていました。

脊椎炎の炎症レベルは血沈やCRPなど血中炎症マーカー値に反映され、インフルキシマブなど生物学的製剤が有効である点でも関節リウマチと似ていますが、強直性脊椎炎は男性に多く、仙腸関節をともない、リウマチ反応陰性で、ヒト白血球抗原と強くリンクする点でリウマチと大きく異なっています。白人に多く、日本人には少ない病気です。

 

痛風

「痛風」も、慢性になって多関節が侵されると関節リウマチに似てきます。昔は関節リウマチも痛風の一種とみなされていた時代があります。痛風はリウマチと違って男性に圧倒的に多く、女性の痛風患者はほとんどなく、もしあれば症例報告されるくらいです。痛風はプリン代謝障害か尿酸排泄障害のため血中尿酸値が飽和濃度以上に上昇し、足趾関節など局所状態の変化で不溶性の尿酸結晶となって析出し、激痛をともなう痛風発作を引き起こします。

 

リウマチ熱

「リウマチ熱」となるとさらにまぎらわしく、リウマチ熱と関節リウマチはしばしば混同されます。リウマチ熱は子どもの病気で、発熱などの全身症状のほか、関節リウマチに似た移動性の多発関節炎をともないます。病気の本体は「溶血性連鎖球菌の感染アレルギー」で、後遺症として心臓弁膜症を残します。

関節炎は一過性で、関節リウマチのような関節破壊や変形を残しません。「全身性エリテマトーデス(SLE)」や「強皮症(PSS)」などの「膠原病」も、リウマチによく似た多発関節炎をともないます。しかし、これら膠原病にみられる関節炎は、骨の破壊や関節変形をともなうことはまれということで関節リウマチと区別されます。