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林 太郎

猫好き弁護士 東京在住 「動物の愛護及び管理に関する法律」に関心を持っています。 伴侶動物は猫3頭 2頭は家、1頭は虹の橋

動物取扱業の登録申請をする際に添付する書面(動物愛護法10条2項、施行規則2条2項)


1 法人の登記事項証明書

2 申請者及び動物取扱責任者が登録拒否事由に該当しないことを示す書類

3 次の設備の配置を書いた飼養施設の平面図及び付近の見取図
  ① ケージ等
   ② 照明設備
   ③ 給水設備
   ④ 排水設備
   ⑤ 洗浄設備(洗浄槽など)
   ⑥ 消毒設備(消毒薬噴霧装置など)
   ⑦ 汚物、残さ等の廃棄物の集積設備
   ⑧ 動物の死体の一時保管場所
   ⑨ 餌の保管設備
   ⑩ 清掃設備
   ⑪ 空調設備
   ⑫ 遮光及び風雨を遮るための設備
   ⑬ 訓練場(動物訓練業)

多頭飼育の崩壊に対して現在の動物愛護法は、ほとんど無力である。


個々の自治体の職員やボランティアの献身的な尽力に負う部分が大きい。


山梨県都留市で実際に起きた事例を見てみよう。


ピーク時で約400頭の犬を飼養していた。飼育者は、動物取扱業者ではなく、一般人である。


不妊去勢を施さないためにどんどん増えていったという。


時系列で記すと次のようになる。


平成4年頃から周辺住民から悪臭や放し飼いによる危険について都留市に苦情が寄せられるようになった。


都留市は、飼養者に対して適正飼養するよう行政指導をしたが、飼養者は従わなかった。


平成13年12月、都留市は飼養者に対して改善勧告を出したが(動物愛護法25条1項)、期限を過ぎても改善はなされず、平成14年2月に改善命令を出す(同条2項)。


しかし、飼養者は改善命令に従わなかった。


そこで、都留市、愛護団体、周辺住民らが対策会議を結成し、頭数削減や環境浄化に乗り出した。


平成14年10月には、愛護団体が費用を全額負担して約160頭の不妊去勢手術をした。


平成17年ころになると、頭数は徐々に減少していった。


平成18年10月、飼育者が死亡。


その後、飼養者の使用人であった者が管理者となって、愛護団体や都留市の支援のもとで犬の飼養を行うことになった。


平成23年7月には55頭にまで減少。


このように、周辺住民からの苦情が出てから55頭に減少するまで実に20年近くかかっている。


なぜ、多頭飼育崩壊の問題解決にこれほど長期間がかかるのか。


現在の動物愛護法には、多頭飼育下に置かれている犬や猫を強制的に保護する手段が設けられていないからだ。


動物愛護法には、多頭飼育する飼養者に対して勧告、措置命令という手段が定められているが、強制力はない。


自治体が改善勧告や措置命令を出しても、これに従わない者はいる。


措置命令に従わなければ刑事罰として20万円の罰金が課せられるが、罰金を課しても飼養環境の改善が図られる保障はない。


都留市の事例でも刑事告発はしていない。告発しても改善につながらないと判断したからだ。


多頭飼育による周辺環境の悪化や犬や猫の健康被害を一刻も早く解決するためには、動物愛護法に強制力をもった救済措置を設けることが必要だ。


具体的には、自治体が飼養者に対して、犬や猫の不妊去勢手術をすることや、怪我や病気に対して必要な治療を受けさせることを具体的に命じることができる旨を、動物愛護法に明記することだ。



そうすれば飼養者が命令に従わない場合、自治体が飼養者に代わって強制的に犬や猫を保護することができる(行政代執行)。






動物愛護法では動物取扱責任者について次のように定めている。

第22条
1 動物取扱業者は、事業所ごとに、環境省令で定めるところにより、当該事業所に係る業務
を適正に実施するため、動物取扱責任者を選任しなければならない。


【施行規則】
第9条
 法第22条第1項の動物取扱責任者は、次の要件を満たす職員のうちから選任するものと
る。
 一 第3条第1項第4号イからハまでに掲げる要件(半年間以上の実務経験、学校等の卒
知識等の習得証明)のいずれかに該当すること。
二 事業所の動物取扱責任者以外のすべての職員に対し、動物取扱責任者研修において得
た知識及び技術に関する指導を行う能力を有すること。

2 動物取扱責任者は、第12条第1項第1号から第5号まで(成年被後見人等、動物愛護法
違反して罰金以上の刑に処せられた後2年を経過しない者等、動物取扱業者の登録を取消された後2年を経過しない者、法人が登録を取り消された場合におけるその法人の役員で取消後2年を経過しない者、業務停止期間中の者)に該当する者以外の者でなければならない。


3 動物取扱業者は、環境省令で定めるところにより、動物取扱責任者に動物取扱責任者研修(都道府県知事が行う動物取扱責任者の業務に必要な知識及び能力に関する研修をいう。)を受けさせなければならない。

【施行規則】
10
 1 都道府県知事は、動物取扱責任者研修を開催する場合には、あらかじめ、日時、場所等を
登録している動物取扱業者に通知するものとする。
 2 前項の規定による開催の通知を受けた動物取扱業者は、通知の内容を選任したすべての
動物取扱責任者に対して遅滞なく連絡しなければならない。
  3 動物取扱業者は、選任したすべての動物取扱責任者に、当該登録に係る都道府県知事の
開催する動物取扱責任者研修を次に定めるところにより受けさせなければならない。ただし、都道府県知事が別に定める場合にあっては、当該都道府県知事が指定した他の都道府県知事が開催する動物取扱責任者研修を受けさせることをもってこれに代えることができる。
   一 一年に一回以上受けさせること。
   二 一回当たり三時間以上受けさせること。
   三 次に掲げる項目について受けさせること。
     イ 動物の愛護及び管理に関する法令(条例を含む。)
     ロ 飼養施設の管理に関する方法
     ハ 動物の管理に関する方法
     ニ イからハまでに掲げるもののほか、動物取扱業の業務の実施に関すること