第四北越銀行と群馬銀行との経営統合については,前向きな報道がある一方で,疑問や問題提起するなどの報道もあります。経営統合に賛否両論ある理由などは,いったい何なのか,この点を中心に検証したいと思います。
目下,地銀再編の流れにある事は間違いありません。
これは私自身も認識しています。
だからと言って,地方銀行が果たすべき地域経済への貢献や,顧客の利便性確保などは絶対に必要です。
無論,コンプライアンス精神も最大限に尊重するべきあり,規模が大きくなればそれだけで良いのか,問題提起したいと思います。
なお,群馬銀行が刑事告発された企業である点も絡めて検証します。
この刑事事件は非常に闇深い事件であり,何よりも群馬銀行幹部が説明責任を果たさず,群馬銀行のコンプライアンス部門も完全無視の姿勢が続いており,どうしてこの刑事事件から逃げ回るような行動をするのか,この点は謎となっています。
仮に,経営統合にするにあたり,この刑事事件の真相解明をせずに有耶無耶にするような行為は許し難き行為であり,この点は厳しく指摘します。
事件の概要は,以下の通りであり,改めて周知させます。
この刑事事件は群馬銀行役職員と厚生労働省群馬労働局職員らが共謀した虚偽有印公文書作成事件であり,前橋地検側の杜撰な捜査によって,今現在でも未解決事件となっています。
1 事件番号:令和2年検第944号~951号(刑事告発=2件)
2 罪名:虚偽有印公文書作成等(内容虚偽の聴取書を作成した)
3 担当:前橋地方検察庁
4 処分:嫌疑不十分による不起訴処分
5 被疑者:群馬銀行役職員,群馬労働局職員,前橋労働基準監督署職員
6 事件に関与したと思われる人数:約30名程度と想定しています。
7 犯行の目的:労災請求を妨害するため。
8 この事件についての報道など:一切ありません。
9 この事件についての適時開示など:全く確認できません。
10 第三者委員会などの設置:全く確認できません。
11 被疑者への処分など:全く確認できません。
12 全容の解明など:一切できません。
まず,群馬銀行と第四北越銀行が経営統合で基本合意した報道から,思惑などを考えたいと思います。
生き残りかけ、地域トップ同士の統合 第四北越と群馬銀が記者会見
朝日新聞
記事の一部を引用します。
第四北越FGの殖栗道郎社長は、地域のトップ銀行同士による相乗効果をアピールした。県固有の金融グループではなくなるとの質問に対しては「経営基盤が盤石になることで地域貢献できる。全く心配ない」と述べた。
また、群馬銀の深井彰彦頭取は、新潟と群馬では生活圏や文化圏が異なるという指摘に「昔から行き来は多い。新潟県から関東へのビジネスチャンスも生まれると思う」と話した。
第四北越FGと群馬銀行 経営統合目指すことで基本合意
NHK
記事の一部を引用します。
統合が実現すれば、預金量は単純な合計でおよそ17兆円となり、預金量では国内4位の地方銀行グループになる見通しです。
群馬銀行が第四北越FGに持ちかけた「越境統合」の内幕、異例尽くしの“成長型”地銀再編の狙いとは
ダイヤモンドオンライン
一部引用します。この記事は有料会員限定です。
統合後のグループは、総資産約21.4兆円、25年3月期の純利益予想は単純合算で680億円と、地銀としては全国屈指の規模を誇る。さらに、27年3月期には950億円もの利益水準も視野に入る。
しかも、よくある店舗統廃合による効率化という文脈すら当てはまらない。群馬県と新潟県という隣県同士ながら、営業エリアはほとんど重複せず、支店競合も実質的にはない。
それでも、統合への意思決定は速かった。昨年11月、群馬銀行の深井彰彦頭取が「経営統合を視野に協議しませんか」と切り出すと、第四北越FGの殖栗道郎社長は「ぜひお願いします」と即答したという。
経営統合によって「規模が大きくなる」ことは,非常に良く分かります。
また,経営統合が,昨年11月に群馬銀行頭取から提案があり,速攻で決まったような印象です。この流れが非常に速い印象です。
ただし,以下の点には触れておりません。
個別に指摘します。
主に,メディア側の報道姿勢に問題があると考えています。
1 群馬銀行が刑事告発された企業であること。
これは上述の通りです。
そして,紛れもなく重大な刑事事件(組織的な犯行)です。
しかも,この刑事事件はネット上などで調べれば容易に把握できる事件であり,どうして群馬銀行が虚偽有印公文書作成事件に手を染めたのか,そして,経営統合するにあたり一切問題がないのかなど,全く触れておりません。
これは,メディア側の姿勢に重大な問題があります。
2 時価総額,並びにROE(株主資本利益率)から見た報道がありません。
時価総額で比較すると,以下の通りになります。
・群馬銀行=おおよそ4700億円。
・第四北越=おおよそ2800億円。
総資産では両行はほぼ同額ですが,時価総額の場合には大きな開きがあります。
更にROE(株主資本利益率)の場合です。
なお,修正等を行っている可能性がありますが,あくまでも当初の予測です。四季報を参考にしています。
・群馬銀行の予測=おおよそ7%
・第四北越の予測=おおよそ5%
3 群馬銀行は『ROE(株主資本利益率)の向上を目指す』と説明していますが,これに関する報道が極めて少ない。
ROEで重要な点は,群馬銀行頭取が以下の発言を行っているからです。
日経新聞を参考にします。本年2月時点での報道です。
群馬銀行、連結純利益1.5倍の600億円に 新中計発表
日本経済新聞 2025年2月27日
群馬銀行が公表した『個人投資家さま向け会社説明会』の資料(2025年2月28日付)でも理解できますが,群馬銀行の深井頭取は、記者会見で『ROE10%の実現でPBRが1倍になると想定している』旨を述べています。
つまり,群馬銀行ではROEの向上を目標としており,2028年3月期までには,10%以上のROEを実現しようとしていることが理解できる筈です。
これは,本年2月28日時点での公表資料によるものであり,紛れもない事実の筈です。そして,ROEが10%を超える企業は優良企業だと言われていますので,群馬銀行頭取の目指す方針並びに姿勢には,十分に納得できます。
なお,群馬銀行のホームページでは,上記『個人投資家さま向け会社説明会』の資料(2025年2月28日付)を見ることが出来ます。
以下のリンク先から確認して下さい。
そして,日経ビジネスによるスクープ報道がありました。
本年3月14日付の報道です。
[スクープ]第四北越銀と群馬銀、経営統合へ 金利上昇で地銀再編圧力
日経ビジネス
つまり,本年2月27日にROEの向上を目指すと述べ,更に『個人投資家さま向け会社説明会』の資料(2025年2月28日付)でも強調しているにも係わらず,翌月の3月14日には第四北越銀行との経営統合について,スクープ扱いで報じられたのです。
しかも,このスクープは「取材」によるものであり,2025年度からの3カ年にわたる新中期経営計画との整合性などについて,どのように考えているのか,これが全く分からないのです。
この流れは,東洋経済オンライン,Bloombergの報道でも理解出来ます。
第四北越と統合なら群馬銀行に課される「説明責任」
見えない統合効果、再編で生じるデメリットも
東洋経済オンライン
東洋経済オンラインでは,以下のように触れています。
Facebookから引用します。
群馬銀行と第四北越FGの経営統合が報じられる中、両社が煮え切らないプレスリリースを公表しました。仮に経営統合となれば、群馬銀行の財務指標が悪化する恐れも。
第四北越Fと群馬銀が27年4月に共同持ち株会社-地銀3位規模へ
Bloomberg
この中で,以下のように報じています。一部引用します。
松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは第四北越Fと群馬銀について、「ともに県内シェアの高い地銀が県境をまたいで経営統合に踏み切るのは評価できる」と述べた。
一方、SMBC日興証券の佐藤雅彦シニアアナリストはリポートで群馬銀について「自らよりROE(株主資本利益率)が低い主体を取り込むことでROE10%目標から遠ざかった」として「ネガティブ」と指摘した。
4 群馬銀行頭取には説明責任があります。
とにかく,群馬銀行頭取には説明責任があると思います。
上述の通り,群馬銀行は虚偽有印公文書作成事件といった重大な犯行を組織的に行いました。
しかも,いまだ真相解明に至っておらず,説明責任さえも果たしておりません。
更に,地銀再編が急務であっても,第四北越銀行との経営統合についてはネガティブな指摘を行っている専門家もいます。
特に,群馬銀行トップ自らがROE10%以上を目標としている以上は,ステークホルダー保護の観点からも説明するべきです。
5 まとめると,以下の通りです。
・ 群馬銀行は虚偽有印公文書作成事件について,真相解明と説明責任は
果たすべきです。
・ 経営統合では,両行が躊躇いもなく合意しています。他方で,群馬銀行側が目指すROE10%目標に対する考えには,透明性・一貫性などが見
当たりません。
・ 上場企業である以上は,ネガティブな判断にも耳を傾け,丁寧な説明が必要です。
更に,時系列にすると以下の通りです。
2024年11月 群馬銀行の深井彰彦頭取が「経営統合を視野に協議しま
せんか」と切り出すと、第四北越FGの殖栗道郎社長は「ぜひお願いします」と即答した。
(ダイヤモンドオンラインより)
2025年2月27日 群馬銀行が新中計発表。
2028年3月期までにROE10%以上を目指すと表明。
2025年2月28日 群馬銀行『個人投資家さま向け会社説明会』の公表。
この中でもROE10%以上に触れています。
2025年3月14日 日経ビジネスによるスクープ報道。
これにより,経営統合が発覚しました。
2025年4月24日 経営統合に関する基本合意を公表しました。
本ブログ記事に対する意見や情報などがある場合には,是非とも提供して下さい。
以上







