ちくちく縫いたい病 | ケンブリッジ生活・サンディエゴ生活

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2019年からのイギリス・ケンブリッジ生活を機にブログを始めました。2023年春からは、アメリカのサンディエゴに暮らしています。

あれは去年の7月のこと。

バルボアパークのMINGEI MUSEUM で面白い展示を見た。

天井からたくさんの白い布が吊り下げられていて、その同じ幅と長さの布には糸でステッチがされているのだった。

いろんな場所でいろんな人がチクチクと自由に糸で模様を描いたものが集められて、そんな布がゆらゆらと揺れている間を歩いて眺める展示だった。

 

 

 

いろんな色の糸で、シンプルに並縫いをしているうちに不思議な地図のような模様が出来上がっていったようなものもあったし、まるで絵を描くように鳥や人間の姿が縫われているものもあった。

 

 

ミシンの正確できっちりした縫い目だと、こんなふうにはならない。拙いものも、驚くほどに芸術的なものもあったけれど、どれもとても魅力的で予期せずにそんな模様になってしまったというような面白さがあった。

 

それを見てから、ずっとただちくちくと縫い物をしたいという欲望があったのだけれど、落ち着いて黙々と運針するという時間をなかなか持てななかった。でも、6月に日本を訪れていた時に、吉祥寺のユザワヤで刺し子のキットを見つけ、とりあえずこれで縫い物をしようという気持ちになった。刺し子は太い刺し子用の糸を針に通して、あるパターンに従って縫ってゆくと模様が出来上がってゆく。模様は麻の葉だとか、青海波だとか、昔からある日本の伝統的な模様だ。

ちょっと数学的な面白さもある。

 

それで、ここ2週間ほどちょっと時間があるごとに、ちくちく、ちくちくと縫って、今日、私の初めての刺し子のふきんが出来上がった!

 

 

この模様は丸毘沙門というそうだ。なんでも毘沙門天の甲冑に使われている模様なのだそう。

仕事から帰ってきてから、お茶を入れて、座って黙々と10分とか15分とか縫い物をするのだけれど、それがなかなかいい時間だった。

刺し子は縫うのも楽しいし、模様も好きなので、これからも続けたい。

そして、いつか、あの展示の布たちのように自由でのびのびとした縫い物をしてみたいなと思っている。