前夜からしとしとと降り出した雨。熱海の朝は雨模様だった。
天気が良ければ下田へと足を伸ばそうと思っていたのだけれど、予定を変更して7時台の新幹線で京都に行くことにした。
京都は天気がいいらしい。
お茶を淹れた。爽やかな風味の静岡茶だった。さっぱりして、ほんのりと甘く、キリッとしたお茶だった。
こういう、なんでもない、急須や湯呑み、お茶のセットが妙に新鮮で好ましく見える。
宿の女将が、朝のサービス(クロワッサンとコーヒー)は要らないという私たちに、じゃあ、お菓子を持っていきなさい。新幹線に乗るの?じゃあ、冷たい麦茶も持っていきなさい。と色々なものをくれた。
クランキーチョコに、カントリーマームのクッキー、それから「ハッピーがターンしてくるようにね!」と言ってハッピーターン。そんな親切がとっても嬉しかった。
ここは、凝った豪華な宿ではないけれど、ピンと張った真っ白なシーツや、スッキリとした美味しいお茶や、そんな優しい宿の人のサービスがとても心地の良い、昭和の熱海の雰囲気の宿だった。
新幹線に乗る前に、駅の売店で「熱海温泉プリン」なるものを買った。
このパッケージがとても可愛くてイチコロだった。
白に赤の水玉。なぜかカバのイラストに、キャラメルソースの容れ物もカバなのだった。
熱海、温泉、レトロが全部ぎゅっと入ってるみたい。
特に味には期待していたわけではないのだけれど、これが美味しかった!
プリンはとっても柔らかくてクリーミーで、キャラメルがこくがあってちょうどいいほろ苦さと甘さ。
うーん。と、感心した声がつい出てしまいながら新幹線の車窓には目もくれず、夢中になって食べたのだった。
うーん。熱海、良かったなあとしみじみしながら、このプリンと金目鯛の干物と、わさび漬けと、ニューサマーオレンジなどを買うためだけに、熱海に日帰りで行くのもありかもな。と考えながら京都に向かったのだった。