イギリスに暮らし始める前は、人からいただいたお花を花瓶に入れて飾ることはあっても

自分のために花を家に飾るということは、殆どなかったと思う。

 

ここ、イギリスでの生活では、家の中に、いつも季節ごとの花がある。

スーパーで売られている花が安価だというのも、花を買って帰る理由の一つかもしれない。

なにしろ、今の季節は蕾の水仙が一束で1ポンドしかしない。

家に持ち帰って水の入った容器に入れれば、すぐに花びらをほころばせて、その黄色い色は灰色の冬の空気の中、家の中に明るさを運び込んでくれる。

 

 

香りの高い、百合やフリージアなどは家の中を新鮮なひんやりとした香りで満たしてくれて

ふと夜の中、妖艶に香ったり、外から帰ってきた時に花の存在を感じられるのは、意外に嬉しい。

 

 

まるで水に滲んだかのような、儚い色合いに見入ることもあれば、柔らかな花弁の優雅な形につい手を伸ばしてみたくなることもある。

買ってきた花だけではなくて、庭から摘んできた花々、野原で摘んできた花を飾ることもある。

 

これは、今の季節咲き始めた庭のアイリス。

もう少ししたら、水仙やムスカリ、スノードロップなどの球根から育つ花が庭に沢山咲く。

 

 

それを家のいろんなところにちょこちょこと飾って置いておく。

 

 

道端に咲いていた花、野原で咲いていた花。

 

 

夏は、ひまわり、芍薬など大きな花を、大きなガラス瓶に挿して飾ることが多い。

 

 

時計草の花の部分だけを水に浮かべる飾り方は、この家の大家さんが教えてくれた。

 

空気の色が淡く、日差しが弱いことなども、花が美しく見える理由かもしれない。

 

暗すぎもせず、明るすぎもしない、空気の色の中で花々が楚々と咲いているのは、ちょうどいい存在感。

 

 

多分、南カリフォルニアの生活に戻ったら、今のように花をいつも家に飾ることはなくなるだろう。そして、そのことを少しだけ淋しいなと思う。