そう。この日はリスボン最終日。

私はイギリスへ、アリスはスペイン南部に向けてリスボンを発つ日だった。

幸い私の飛行機は夜の出発だったので、この日もバッチリ朝から遊ぶ予定を立てた。

 

ホステルの宿泊料には朝ご飯が含まれていた。

コーヒー、紅茶、オレンジジュース、ミルクなどの飲み物。

パン数種類、ゆで卵、チーズ、ハム、シリアル、フルーツが用意されていた。

しっかり腹ごしらえをして、ついでにサンドイッチもこっそり作っちゃった。

 

 

ロッシオから一駅で乗り換えて、4月25日橋というテージョ川にかかる大きくて長い橋を電車で走った。前日に見たべレムの塔、発見のモニュメントも橋の上から見下ろすことが出来た。

 

電車の2階席↑

 

この日はSisimbraという海辺の街に向かっていた。

日差しは強く、気温も湿度も高くなってきていた。

 

ここでバスに乗り換えという駅から出て、バス停でバスを待つ。でも全然バスがやってこない。

前日もバスが延々にこなくて、諦めたのだけれど、リスボンのバスはどうやら全くあてにならないようだ。

結局1時間ほど遅れてバスはやってきた。

 

シシンブラに着いたのは11時過ぎだった。

 

白い砂浜。透き通った海水。椰子の木。

 

 

色とりどりのパラソルが海岸に並んでいた。

でも、どうやら地元の人ばかりで、外国からの観光客はあまりいないようだった。

確かに、ここに来るのはリスボンからでも自家用車以外でやってくるのはとても不便なのだから仕方がない。

 

まずは、この海を眺めながらビール!

 

その後、海岸を歩いて散歩した。

 

本当に綺麗な海!もうこれは泳ぐしかないだろう。

アリスはビーチのバーでのんびりビールを飲むことにし、私はまだ少し冷たい水に飛び込んで泳いだ。

イワシのような魚が沢山泳いでいて、空は青くて、水は透明でとても気持ちが良かった。

 

 

たっぷり泳いで、さっぱりとして、少しくつろいでから帰ることにした。

ところが帰り道、、、。

折り返しだと思っていた、くるときに乗ってきたバスには乗れないということがわかった。

困っていると、地元のおばさんが、フェリー乗り場まで1回乗り換えをして行けるバスに乗るといいという。彼女もその方向に行くので私に着いてきなさい。ととても親切だった。

アリスは、フェリー乗り場ではなくて駅に戻った方がいいという。でも親切なおばさんは駅に行くとお金がとてもかかってしまうから自分のいう通りにした方がいいという。

アリスは渋っていたけれど、私は地元の人の方がよくわかっているだろうと意見した。

おばさんについて、バスに乗り込み、安心していたら、途中でバスが止まってしまった。

どうやら故障のようで、乗客は全員降ろされてしまった。

 

私たち、今晩の飛行機やバスに間に合うのだろうか、、、。

親切なおばさんは、悪いことしちゃったと思っているようで、やっぱり駅に行くバスに乗った方があなたたち、良かったわねえ。と言った。

そんな、親切に助けてくれて、ありがたいと思っています。バスが故障したのはあなたのせいじゃないし、、、と私たちは口を揃えて言った。

こういうハプニングは旅にはつきものだし、だからこそ人情に触れたり、面白い経験ができるのだから、文句は言わない。

 

結局、バスを乗り換えてフェリー乗り場へ着き、船でテージョ川を渡ってリスボンに戻ってきた。

急いで、預けてあった荷物をホステルに取りに行き、ロッシオ駅で電車に乗るというアリスと別れた。アリスは泣くまいとしていたけれど、瞳が涙でいっぱいになっていた。

スペインで2週間、寝食を共にし、徒歩の旅の素晴らしさも辛さも共有しあった友と、リスボンでまた旅をして、また私たちは別々のところへ向かう。

彼女はこの後3週間かけてバルセロナまで1人旅をして、シンガポールへと帰るのだ。

また会えて、本当に良かった。いい旅だった。と私たちは抱擁を交わして別れた。

 

空港へ向かうには地下鉄を使うので、地下鉄の駅まで歩いて行った。

でも、駅の構内が人でごった返している。

どうやら、地下鉄の電車がかなり遅延しているようだった。

困ったな、、、と思っていたら、先ほどロッシオ駅前で別れたアリスが目の前を通り過ぎた。

あれ?どうしたの?

と声をかけると「なんか勘違いしてた。地下鉄でバス乗り場まで行くんだった」と照れ笑いしている。

先ほどの感傷に満ちた気持ちは消えていて、私たちは笑いながら、地下鉄が来るのを待った。

2人とも、飛行機に、バスに間に合わない可能性があったけれど、ジタバタしても仕方がない。

 

やっと来た電車は東京の通勤電車のようにぎゅうぎゅうで、暑くて、蒸し蒸しして気分が悪くなりそうだった。

 

そんな電車の中で、その日2度目のさよならをアリスに言い、別れた。

 

なんとか、アリスは長距離バスに間に合い、私も飛行機に間に合った。

それにしても、毎日バタバタしていたけれど、こんなに楽しい旅は彼女と一緒だったからだろう。間違ったフェリーに乗っちゃったり、全然こないバスを延々とまったり、行き場を決めずにトラムに乗って、ここはどこ?というところについてしまったり、そんなこともいつも、結局笑ってしまえたのは、鷹揚なアリスのおかげだった。

 

旅はいい。また旅に出たい。今度はどこに行こうかな。