街へ行くのに、近所を歩いていたら、桃の花のようなきれいな花が咲いていた。

この花、綺麗ですねえ。と庭しごとをしていた女性に声をかけた。

 

70代半ばから後半の女性は、朗らかに、そうでしょ!ナーサリーで見てとても気に入ったので植えたのよ。と、木の名前を教えてくれた(忘れたけれど)。

嵐の後の庭をきれいにしているのだけれど、木が傾いたりしていて、大変で、、、。

というので、家の裏に目を移すと、結構広い、手入れの行き届いた素敵なイングリッシュガーデンが見えた。素敵なお庭ですねと言ったら、ぜひ、見て行って。と庭を案内してくれた。

 

一番奥には、ハーブや野菜を植えたガーデンがあり、温室があり、スノードロップ、水仙、クロッカスの咲くエリアがあり、植え込みや木があった。

庭の一角にはスタジオのような建物があって、そこで陶芸をしているのだという。

その陶芸スタジオにも案内してくれた。

陶芸家なのだということで、作った器や壺、タイルなどが並んでいて、毎年6月にはケンブリッジのアーティストがスタジオを一般にオープンするイベントがあることなどを教えてくれた。

 

とても、優しい顔のラブラドール犬が、一緒についてきて、撫でると人懐こく擦り寄ってきた。

家族の話や、庭の話などをしてくれた。お互いに自己紹介をして、また会いしましょうと言い合った。

 

庭に向かって、コンサバトリーがあった。

コンサバトリーというのは、屋根が壁がガラスで出来た庭に張り出した部屋のことで、イギリスではよく見かける。

日当たりが良いその場所には、座り心地の良さそうな椅子がゆったりと置かれ、その脇の高さの低いテーブルには、庭から切ってこられたと思われる水仙などの花が溢れるように飾られていた。

朗らかで頬がピンク色の、その素敵な女性がこの庭や庭を眺めるコンサバトリーで過ごす時間の豊かさを想像することが出来た。

 

街に出ると、トリニティカレッジの前のニュートンのリンゴの木の下にクロッカスが咲いて、その可愛らしい色々にわあっ!と心が浮かれた。

写真に、その儚い美しい紫色と黄色がうまく撮れないのが歯痒い。

 

 

帰り道。歩いていると公園の木々の向こう側に雨を含んだグレーの空が見えた。

 

なんだか、虹が見えるような錯覚があって、なぜだろうとよく見てみると

木々の枝の先がうっすらとピンク色に染まっているせいだった。

 

 

さて、夜は、テスコ(スーパーマーケット)で瞳の澄んだ生きの良さそうな魚を見つけたので、それを焼き魚にすることにした。頭をつけたままにして貰えばよかった、、、。

魚は、シーブリームとシーバス。身がデレーンとしていない。プリッとしている。

 

塩を振って、ブロイラーで焼いたら、とっても美味しかった。

ちょっとお醤油を垂らして、白米と一緒に食べた。

 

 

シーブリームは、焼いた鯛と同じような香りと味。

シーバスも、身が柔らかくて美味しい。1匹£3.50 だから、安いと思う。

とても新鮮だったので、お刺身にしてもよかったかも。

イギリスは、鯖や鰊、鮭が美味しくて、日本では高級魚のスズキやタイも安価なので、もっと色んなレシピで試してみたい。

 

ロシアがウクライナに侵攻して、不安や心配、憂いに心が沈みがちなこの頃。

あのコンサバトリーの平和な美しさや、魚を焼くような、こんな小さな幸せが、誰からも奪われない世界であってほしいと心から願っている。