
15歳。
「セクハラ」なんている言葉はなかった。
中学卒業後入社した会社。
もちろん会社内では私が一番若い従業員。
食品卸問屋での倉庫。
私の仕事は品だし作業。
中年男性の従業員。
50代後半だったか?
直属のボスではなかった。
彼は同企業内、漬物工場部門の責任者。
用もないのに私のそばに来ては
尻を触る。肩を抱き寄せる。
キスするそぶりをする。
イーヤーン、なんて間の抜けた言葉で
対応する私。
心のどこかで「場」を保とうなんて感じていたのだろう。
このおっさんを同僚らの前で恥をかかせてはいけない。
なんて。
逃げ惑うと、追ってくる。
子供が鬼ごっこをしているみたいだ。
捕まられた私の腕。結構力強く掴む。
恐怖が体を突き抜ける。
私が喜んで逃げているのだと勘違いしているのだ。
このおっさん。
15歳の私が可愛くて仕方がないような言葉をはく。
私は、嫌で嫌で、彼がこちらへ来るのを目にすると
前もって、その場から離れた。
とにかく二人きりになるのを避けた。
「やめてください。」
我慢できなくなった私。
とうとう発してしまった。
嫌悪と恐怖。
予想もしてなかった私の態度に
びっくりしたのだろうが、それを見せず。
ポカンとした表情で一瞬私を見つめ。
その場から退散していった。
その後
体への接触はなくなった。
その代わりに意地悪が始まった。
上司ぶって、ああでもないこうでもないと
仕事の仕方について説教する。
挙げ句の果て、社長に告げ口することも。
「あの子はサボってばっかりいますよ」
なんて。
会社へ行くのが毎日憂鬱だった。
入社1年後、16歳になっていた私は
退社した。