
お父さんが怒るんだよ。
出て行け!と怒鳴られる。
殺してやる。
こんなもの食えるか。
無駄使いばかりしやがって。
自分で働いて俺に金返してくれ。
何十年私は聞かされたのか。
お母ちゃん、わかる?
たった一人の肉親である母親が
夫から虐待を受けていることを
聞かされる娘の気持ち。
お母ちゃんの夫。
つまり私にとっては義父。
その男への憎しみは、
私の中で大きくなるばかり。
好きでこの男と一緒になったんでしょう?
私、12、3歳だったと思う。
初めて会った時から、
この男好きになれなかった。
ま、お母ちゃんが付き合う男、
どの男も嫌いだった。
どいつもこいつも同じような男で
ろくなのはいなかった。
幾度も幾度も
別れたと思うと、
いつのまにかよりが戻っている。
お母ちゃんが泣いて私に言った。
彼とは別れたよ。って。
私は内心、喜ぶ。
しかし1週間もすると、
またその男が家にくる。
再び同居が始まる。
その男のそばにいる時の
お母ちゃんは幸せそうだった。
私と二人の時は絶対に見せない
朗らかな顔。