
バーブラ・ストライトサンドが歌っている。
美しくて、悲しい歌をきくと、
私は必ず思い出す。
苦くて、悲しくて、寂しい瞬間。
小学校2年生。
転校したばかり。
友だちはできない。
近所の人も知らない。
学校が休日でも
お母ちゃんは仕事。
お母ちゃんの職場、フードセンター
から数分のところに、
遊園地があった。
仕事の合間お母ちゃんと
一緒に昼食をとった。
お母ちゃんの終業まで、
時間をつぶす。
遊園地。
一人の遊園地。
でも嬉しかった。
だって、初めての経験だったから。
お母ちゃんからもらったお金で
乗り物の回数券を買った。
10回くらいは乗れる。
観覧車
一番最初の乗り物。
係の人が回数券を切った。
残りの回数券
を受け取った。
扉がしまる。
観覧車は揺れている。
ちょっと怖いけど、
体を動かさなければ
観覧車の揺れも止まる。
わあ、上昇している。
外の景色が、下の景色が
気になる。
ドキドキ。
その瞬間、あっ、
ない、ない。
椅子の上においた
遊園地の残りの回数券
風で飛んで行ってしまった。
乗っている観覧車、
まだ最高地点まで
到達していない。
私はもう何も見てなかった。
楽しくもなかった。
悲しかった。
寂しかった。
なんて私はおっちょこちょい。
お母ちゃんの職場へ行って、
また、お金もらおうか、
なんて、考えられない。
怒られるのが、
せきのやま。
観覧車から降りたあと
記憶がない。
でも、そのまま、
その遊園地で、
お母ちゃんの終業まで
時間つぶした・・・
はずなのだが・・・・
その観覧車、遊園地
とうの昔に壊された。