当時、週に1度通っていた銭湯。驚き、まだあった!

ウノキ

雨の樹と書いて、ウノキ。
お母ちゃんが働いていた飲み屋さん。
そこにも私と同じ年齢(トシ)の子がいた。
お母ちゃんの仕事は、昼間、家事をするお手伝いさん。
夜、飲み屋が開く頃仕事を終えて、帰ってくる。
はずなのだが、定時でお母ちゃんが帰宅したことは無かった。
私、六畳一間のアパートで一人で待っているのは
寂しい。怖い。つまらない。
テレビでもあったら少しは違ったかな。

夕方過ぎても、ずーとひとりぼっちの私。
お母ちゃんが帰る道を通って、ウノキへ向かう。
道すがら、お母ちゃんに会えるように、ゆっくり歩く。
いつもの倍以上、時間かけても、お母ちゃんには会わない。
結局、ウノキに着いてしまう。
私は、近くの電信柱の陰に隠れて、お母ちゃんが帰路につくのを待つ。
店の中からお母ちゃんの声が聞こえる。
時々、外へ出てくる。水をまいたり。通りをはいたり。

私は声もかけられず、電信柱の陰で小さくなって待つ。
お母ちゃんは私に気がつかない。
数十分待っても、お母ちゃんは仕事が終わりそうにない。
私は立っているのが、嫌になり、そのまま、帰った事。
何度も、何度も、あった。

ウノキの子供たちに会うのが嫌だった。
特に、同じ年の娘は、清潔で、可愛いお嬢さんという印象があった。
私と全く違うと、感じていた。
お手伝いさんのお母ちゃんがこの子たちの世話をする。
私には、そんなこと、してくれない。やきもちだった。