よく遊ぶTaki。だが、ケージの周り、約畳一枚分が行動範囲。遊びに没頭しすぎて、その範囲を越えると、数秒後、気づいて、そそくさと、安全範囲に戻る。威嚇は激減。


(前号からの続き)毎朝、毎夜、姿が見えない、と気になる。雨が降り続けると、気になる。近所の悪ガキどもの声が聞こえると、気になる。もしかしたら、空腹のあまり、ゴミ箱をあさっていないか。それを見た人間が、「こらっ!。」と、追い立てないか。向こう見ずに逃げる最中、車にひかれないか。毒入りの餌など食べないか。この猫の存在を知ってしまった以上、このような心配が常に心底にただよう。何故こうもこの母猫が気になるのか。捨てられた猫たちとその子孫、外にはゴマンといる。しかし、今まで私が目にして来た公園などの猫たちは、どれも人慣れしていて、人を怖がらない。のんびりしているように見える猫ばかりだった。だが、この母猫のように、人間が近くへ来ると、怖い顔でシャーッと威嚇する猫を見た事がなかった。外で生きて行く以上、このようなモンスターのほうが生きやすいかもしれない。変に人慣れしていると、世の中善良な人間ばかりでない、虐待されることだってありうる。私は、迷った。手術後、放すべきか、否かを。私がそんな大きな決断に迫られているなんて、知らない母猫は、カバーで被われた捕獲器の中で音もたてず、じーっとしている。私が居住する区の助成で不妊手術をする場合、予約をしてから翌日の手術になるので、24時間以上、捕獲器に入れっぱなしになってしまう。それは、避けたい。隣の区の地域猫活動グループのつてで、その日のうちに手術をしていただく手配ができた。母猫を捕獲器から洗濯ネットに入れ替え(これがまた大変な作業)電車で5個目の駅に降りた。駅前からタクシーにのり、5分で、動物病院に到着。その間の約40分、キャリアーの中の洗濯ネットに入った猫さんは無言であった。私は、まだ決断できないで、いた。(つづく)