お父ちゃん

たった1枚のお父ちゃんの写真

東京オリンピックの年。お父ちゃんが死んだ。61歳だったと聞いている。お父ちゃんとお母ちゃんは婚姻関係になかった。今となっては生きているお母ちゃんからの理由(言い訳?)しか聞く事ができない。お父ちゃんの気持ちは知る由もない。彼が韓国籍だったから。私が生まれた時は行商に出ていて、連絡することができなかった。誕生後14日がたってしまったので、とりあえずお母ちゃんの戸籍に入れておこう、いうことにした、らしい。その後、そのままで、私は、「非嫡出子」というレッテルを貼られた。もし仮にお母ちゃんとお父ちゃんが婚姻関係にあったとして、その当時だったら、私は自動的に父の国籍が与えられた。非嫡出子または在日2世。どちらかの身分にしろ、この国では社会的な、または、法的な差別が存在する。お母ちゃんの弟が韓国籍よりは、日本国籍の「私生児」の方が、ましだと、言った。と、お母ちゃんは後日教えてくれた。私を出産した時お母ちゃんは21歳。心細く一人で市役所に出生届けを提出に行った時、初めて知った、と言う。お父ちゃんの国籍が韓国だと。お母ちゃん、きっと、どうしてよいか解らなかったのだろう。