月曜日の通常の朝礼の終了後。
教室に戻らず。生徒たちはその場に残された。
教頭だったか、校長だったか、私の記憶は曖昧だ。
私の名が呼ばれた。前に出てくるように指示された。
なんだかわからない。全生徒が並んでいる前に一人だけ立つのは、
初めてのことだった。なんか悪いことをしたのか?叱られるのか?
賞状が渡された。その前に賞状授与の内容を先生は読んだ。
私は緊張していて、聞いていなかった。
とにかく、頭を下げ両手を出してその賞状を受け取った。
小、中学校を通して、賞状をもらったのは初めてのことだった。
私だけでなかった。もう一人の生徒の名が呼ばれた。
男子生徒。やはり中学3年生。彼も同様、賞状を授与された。
なぜ彼と私、二人だけが賞状を授与されたのか?
クラブ活動?
私はソフトボールで某高校へ推薦入学が決まっていた。
彼も、野球で推薦入学をしたのか?
それしか、褒められることが思いつかなかった。
そんなことがあったことはすっかり忘れていた。
月日は流れ、1999年。
中学卒業後はじめての同窓会。
彼も参加していた。
2次会のカラオケスナックで、突然ひらめいた!
何故、彼と私だけが、28年前あの賞状を授与されたのか。
貧乏だったからだ。
貧乏に負けず、学校へ来てくれた、感謝???
いや、私は貧乏に完全に負けていたのだが。
