保護犬・シーズー♂こん、病院へ
 センター収容時から重度のマラセチアだったシーズー♂こん。
 前足にゴルフボール大の毛包腫をぶら下げていて、切除手術をしたのが9月上旬。
 皮膚の状態が一進一退、なかなか良くならないので再度の皮膚検査。
 マラセチアはほとんど見られないが、アカラス(ニキビダニ)がいるとのこと。
 マラセチアの下で、さらに悪さしていた原因があったようだ。
 今日から、アカラス治療開始。
 甲状腺ホルモン検査もしてもらった。
 一つずつ、悪いところを探っていく状態ではあるが、いつか皮膚の状態もよくなってフサフサになりますように。
 食欲・排泄ともに問題なく過ごしています。
 シーズー♂こん

 
 ●アカラスについて
 当会が保護した犬の中には、アカラスと診断を受ける犬も少なくない。
 センターに収容されるまで、不衛生な環境下におかれ、栄養状態も悪かった子たち。
 同時に皮膚の状態も悪く、アカラス治療と皮膚のケアに数ヶ月の時間がかかる。
  
 アカラスは、一昔は治らない皮膚病だと言われ、安楽死させられた犬もあったそうだが、複合的な要素が組み合わさって発症していることが多く、基礎疾患に甲状腺機能低下症やアトピー性皮膚炎、リンパ腫などがある場合、また高齢で免疫力が低下している場合などに起りやすいとのこと。アカラスだけの治療ではなく、他に起りやすくしている原因がないか、調べることも必要。
 成犬の場合、アカラスは完治しにくく、繰り返すと言われている。
 これは、他の基礎疾患の問題や、高齢になっての免疫力の低下も要因だろう。
  アカラス(ニキビダニ)症  ←詳細はこちら
 
 アカラスを発症していた犬を里子として迎えていただくには、この病気に関する正しい知識、そして、継続したケアが必要になるということへのご理解が必要になる。事前に十分にご説明しているが、移動による環境の変化のストレスに伴って、今まで良かった皮膚の状態が一時的に一気に悪化することもあり、慌てて病院に駆け込んでくださっても、「人間へ感染する」とか、「他の犬に感染するので、散歩中に出会った犬にも近づけないように・・・・」とおっしゃる獣医さんもいるようで、そんな犬ならとても飼えない・・・・と思われてしまうこともある。
 アカラス自体は人間には感染しないし、清潔な環境下でケアしていれば、同居する犬にも感染しない。
 ただし、同居する犬が高齢犬や幼犬であったり、病気等で免疫力が下がっている時であれば、サークルや別部屋にするなど、皮膚の状態が落ち着くまで分けた環境でお世話するほうが良いかも知れない。
 掃除は小まめに、ベットなどの敷物は毎日取り替えて洗濯。
 最初の1~2ヶ月は、フケがたくさん出ることも多い。
 確かに手はかかるが、どうかご理解ある里親さんに巡り合えますように・・・・。
 ●アカラスの治療
 当会のかかりつけの病院では、基本的に、イベルメクチンの経口投与か、イベルメクチンの皮下注射で治療をしている。
 イベルメクチンは、フィラリア予防薬にも含まれる薬剤であるが、アカラス治療の場合は、極少量を病状に応じて、週に2~3回の経口投与であるケースが多い(状態によって毎日・・・というケースもある)。
 これを最低でも2~3ヶ月、重度のアカラスだった場合は、半年くらいは続けることになる。
 ただし、薬の副作用もあるので、経口量は最初は規定よりも少ない量から投与してみて様子見をする。
 薬剤の量は、体重・状態にもよるが、週に2~3回の経口投与の場合、1ヶ月2000~3000円程度。
 平行して、皮膚の炎症がひどい場合は、抗生剤の内服を使い、また、週に2~3回のシャンプーケアも行う。
 皮下注射で薬剤を使用する場合は、1~2週間に1回程度の注射でも良いそうだが、経口投与の方が効きが良いとのこと。
 
 新しくドラメクチンといわれる薬剤も効果があるようで、ネット検査したら以下のような記述があった。
 ドラメクチン週一回皮下注による犬猫毛包虫症治療
 ドラメクチン(DMT)による犬猫の毛包虫症治療の症例報告である。毛包虫症の犬23頭、猫3頭に、DMT 600μg/kgを週に1回皮下注した。効果は顕著で、イベルメクチン連日経口投与とほぼ同程度の薬効を示した。犬では8週目治癒が平均的であり、最短は5週で治癒、最長は治癒に20週かかった。猫では1頭が2~3週、2頭は4~6カ月で治癒した。DMT皮下注の副作用はほとんどなかった。注射部位の痛みも軽度であった。また、毛包虫症に罹りやすいといわれているT細胞欠如犬種のブルテリアやスタフォードシェアテリアでも、他の犬種と同じような治癒効果がみられた。
 これまで犬の毛包虫症治療によい薬がなく、ペットも飼い主も獣医師も大変だった。イベルメクチン経口投与が最近評判になっているが、これは何週間・何ヶ月と毎日投与しなければならない。週一回獣医病院に通う方が楽なら、DMT皮下注はよい。(Aust Vet Practit 32(3)98-103 2002)
 治療に効果があるようだが、文献が1つしかないので、実際に臨床でこの薬剤を使っている獣医さんのお話をもっと聞きたい。
 当会のかかりつけの病院でも使用を検討しているそうだ。


 ・・・・というわけで? トライアル中だったシーズー♂プッチくん、戻ってまいりました。
 再募集となりましたので、皆様、引き続き応援、よろしくお願いします。
 シーズー♂プッチ



 プッチくん、トライアル開始の日は、皮膚の状態もとっても良かったのに・・・・
 環境の変化によるストレスからなのか、以前よりも状態が悪くなって戻ってきてしまった。
 どんなにお気持ちがあっても、私たちのように普段から、そういう状態の悪い子を見慣れていない方には、かなりショッキングだったかも知れない。
 難しいなぁ・・・・と思った。
 口でどんなに説明しても、うまく伝わらないこともあるし、私たちと同じ感覚で、里親さんへの期待をしてはいけないのだろうか。
 事前フォローや、アフターフォローが手薄だったのかも・・・と反省。
 
 でも、きっとプッチには、理解のあるご家庭が見つかるよ!
 素敵な赤い糸が繋がっているから、もう少し、それを探そうね!