インディファン仲間の購入したこのジャケットのあまりの見事さに、懐具合も顧みず、発注してしまいました。
世界333着限定というのも拍車をかけた原因でもあります。

トニー氏といえば、以前紹介していますがクリスタルスカルの王国版の劇中ジャケットを手がけたナイスガイですが、もともと最後の聖戦版のジャケット製作はしていませんでした。
前記しましたがクリスタルスカル版を777着限定、ルーカスフィルムからレイダース版のオリジナルを借り受けて、そのレプリカを888着限定で製作していたにとどまります。

が昨年の暮れ、私の仲間の一人がトニー氏はどこまでの特別注文に応えてくれるか?という無謀かつ素晴らしい冒険を試みました。
それは聖戦版の特徴のひとつである肩まわりのステッチをシングルにしてもらい、参考写真として聖戦版の写真を送って「劇中同様に」としただけのいたって簡単な発注でした。

 

 

しかしてトニー氏が出した答えは、もうまんま聖戦版でした。
他社では再現していなかった大きなポケットが通常よりも高い位置につき、肩まわりはもちろんシングルステッチ、さらに襟も聖戦版の特徴である大きく野暮ったいつくり。そして素晴らしいエイジング。
こちらの求めているものが聖戦版と確信するや、劇中そのままの聖戦ジャケットを作ってくれたのです。

これを私の仲間が手に入れた当時は、うまくタイミングが合って、聖戦版もやり出したのか・・とか思っていましたが、私や他の仲間が注文した製品と違う箇所が様々あり、彼のものがプロトタイプであったと今は確信しています。

経緯はここまでとして、TONY NOWAK ORIGINAL製の聖戦版ジャケットの詳細を。
最後の聖戦版のジャケットの特徴をおさらいします。

1:前2作品のラムスキン製からカウハイド製に
2:襟のサイズが大きく野暮ったい
3:ポケットサイズが大きい
4:ポケットの位置が高い
5:ストームフラップの上下にスナップボタンがついている
6:肩および腕まわりのステッチがシングル
7:色味がほぼ黒に近かった茶から、赤みの強い茶に
8:全作品中いちばんエイジングが派手

 

 

野暮ったいほどに大きな襟です。

 

 

大きなポケットと天地の幅が広いポケットのフラップ。そしてポケットの位置は裾から見てかなり上についています。これが聖戦版のジャケットを襟とともに野暮ったく見せている最大の特徴だと私は思っています。
このポケット。フラップこそ完全に閉めることはできませんが、オフィシャルサイズの聖杯日誌を余裕で納めることができる大きさです。
私が聖戦版にこだわりつづけた点はこのポケットの大きさにもあるといって過言ではありません。

また袖の縫製が内側に縫い込んであるのも実はこのジャケットの特徴で。この縫い方を再現している他メーカーを私は知りません。さすがトニー氏。こだわってくれます。
 

 

333着限定とあります。
実は仲間のプロトタイプ版のジャケットのインナーには「INDY III」とロゴが縫い込んでありました。
それが製品版にはなく、大きくIIIが縫い込んであります。おそらく諸々の事情があってロゴの使用ができないのではないでしょうか?ちょっと残念ではあります。
ジッパーはニッケルシルバーで、サイズはクリスタルスカル版と同様のもの。
スナップボタンは画像では黒く写っていますが、燻したブラス色です。スナップボタンの形状がクリスタルスカル版とちがって♂パーツが昔ながらのものになっているのも、オリジナルを踏襲してくれているのだと思います。
基本的にライナーの素材および縫製はクリスタルスカル版と同じです。ライナーの素材はナイロン?ナイロンぽいコットン??

 

 

 

サイドアジャスターベルトの位置も文句なしです。
また一連の写真でおわかりかと思いますが、このエイジングはまさに聖戦版です。
ここまで思いきり良くつけられるとニヤリとしてしまいます。



注文の際のサイズは劇中のシルエットとにらめっこして、クリスタルスカル版よりもタイトに、丈も短めに、袖口も細めに発注しました。聖戦版はクリスタルスカル版よりも袖丈が短いのですが、袖丈はあえて同じにして肩幅を少し詰めました。これによりより聖戦版のシルエットに近づいたように思います。
タイトにしたぶん、窮屈かも??と思いましたが、どうしてどうして、さすがトニー氏、二の腕まわりに若干の余裕を持たせた作りとし厚すぎず薄すぎず柔らかな革の使用で、すばらしい着心地になっています。

追伸
先日、インディ4ジャケットの製作者であり、我々インディファンに素晴らしいジャケットを提供してくれていた、トニー・ノヴァク氏が急逝されました。誰にでも愛される素晴らしい人物でしたし、個人的に電話やメールなどで交流させていただいていただけに、とても残念です。氏のご冥福を心からお祈りします。