Magnoli Clothiers製、インディ・ジョーンズ最後の聖戦版カウハイドジャケットです。

 

過去のレザージャケットの紹介で、最後の聖戦版のジャケットで現状満足のいくモデルがないということを書きました。その主な理由は以下の通り。

1:襟の形と付き方が劇中と異なる
2:ポケットの大きさと形状、位置が劇中と異なる
3:サイドアジャスターベルトの位置が劇中と異なる
4:革のカラーが劇中と異なる
5:革の厚さが劇中と異なる

6:裏地の付き方が異なる

細かく言えば、もっとあるのですが、大きいところでは上にあげた6つの項目を満たすモデルが吊るしの製品にはないということでした。
例えば本家のW社の場合は現在販売されているモデルはクリスタルスカル版といっしょくたになっている時点で上記5つの項目全てが最後の聖戦のモデルとは異なる事になってしまい、実際私の持っているW社の聖戦モデルはTONY氏のオリジナルクリスタルスカルモデルの廉価版のごとき製品になっています。

 


そこで登場するのが今回のMagnoli Clothiers社です。
ニュージーランドに本社を置く、インディジャケット制作メーカーとしては新進の会社です。
ここは、インディギアやプロップの収集や自作で有名な、ある有名海外ファンが所属する会社で、彼監修のもとジャケットのみならず、シャツやパンツ、その他のインディギアや、有名ハリウッド映画の商品を半オーダーメイドしてくれるのです。
ここのインディジャケットの注文には他社よりも多くの採寸項目があり、より自分の理想のシルエットのジャケットを作ってくれるという点が魅力です。
事実、アメリカ本家のインディギアサイトのファンフォーラムでも評判は概ね上々で、サイトのサンプルモデルも魅力的です。仲間のインディギアマスターが発注して絶賛していたこともあり、私もここならば今まで叶わずにもんもんとしていた劇中同様の聖戦モデルを入手できるかも!!!と懐具合も考えずにオーダーしてしまいました。

他社への注文の際に気になっていた袖まわりの採寸をあらためてとりなおし、基本はTONY氏へのオーダーとほぼ同じ感覚で採寸しました。聖戦版のハリソンフォードサイズの資料はないのですが、イメージとしてはレイダースモデルよりも若干ゆったりめで裾丈は少し長め、クリスタルスカルよりは短め、二の腕のあたりもレイダースよりは広めでクリスタルスカルよりは狭めという感じで数字を出していき仕上げは劇中同様にとしました。
こだわったのは色味で、私的には聖戦版のジャケットはかなり黒っぽいダークブラウンの思いきり使用感が出たものというイメージがあり、茶というよりは黒に近い、しかし明らかに茶色。というなんともファジーな色を求めました。
当然、そんな色の発注の仕方はありませんし、ましてや英語でそれを説明などできません。
というわけでお約束の画面キャプチャーで理想の色のシーンを抽出し、この色で!!と送りしました。
もうひとつのこだわりがアジャスターベルトの位置。
海外サイトのユーザーのジャケットなどのベルトの位置がやけに上の方についているのが気になっていたので、ベルトの位置は劇中同様に!!!と繰り返しお願いしました。

途中なにやらトラブルがあったのか、作り直しているから待ってくれと連絡があり、本来1ヶ月程度の製作期間が2ヶ月近く待って届きました。
あれだけこだわった色はなかなかによく再現していて満足な出来。
劇中同様にとしたものの、やはり過度のエイジングをかけてはおらず、表面にムラがある程度の軽いエイジングで仕上げていました。ちなみに写真のしっかりかかったエイジングは私が届いてすぐにナイロンブラシでこすってつけたものです。
 

 

襟の形も付き方も、なかなかに聖戦版を再現しています。細かく言ってしまえば形はもうすこしずんぐりした感じだとより近いのですが合格点ではあります。
ストームフラップについたスナップボタンはアンティークブラスでした。(仲間のジャケットはこのボタンが茶系であったり黒系であったりしたようですが、どれが正解かは劇中でも判断はつきづらいですね。)
ジッパーはYKK製でこれもアンティークブラス。金具も小さめでこれも合格です。

 

 

全体のサイズはほぼ注文通りで、逆に二の腕の幅を細くしすぎたのが馴染むまでは、なかなかにキツい感じの袖まわりにあがってきました。が、1ヶ月着込んだ今では余り気にならない程度に馴染んできたのでシルエットでいえばサイジングはほぼ正解だったかなと自負しています。
で、次にポケットです。聖戦版ジャケットの大きな特徴のひとつが聖杯日誌も収納できる野暮ったいほどに大きなポケットです。比較的ポケットが大きく見えるTONY氏のクリスタルスカルジャケットでも実は幅が足りなくて聖杯日誌は収納できません。自分の作成したプロップと同寸の聖杯日誌をポケットに入れたいというのも、聖戦版ジャケットに次々手を出していた理由ですから、やはりこのあたりは気になりました。
が、サイトの製品写真などを見るにとてもポケットが大きく見えたのでここは指摘するまでもないと思い、注文時には何も言わなかったのですが、結果的にこれが失敗。
仕上がったジャケットのポケットサイズは今まで購入したどのジャケットのポケットよりも小さいものでした。
仕様と違うのでは???と思いましたが、同製品を購入している全ての仲間のものがやはり同寸程度のポケットサイズだったので、製品写真を見て大きいと思い込んでいた私のミスで、これが同社の仕様なのだと判明しました。
ですので、野暮ったいはずの聖戦ジャケットがかなりスタイリッシュに見えたりします(苦笑)
個人的にはポケットの位置ももうちょっと上だと思っているのですが・・・・。
 

 

ここまでは許容範囲。最後はこだわったアジャスターベルトの位置。
結果的には大失敗でした。下に下に!と言っていたら実際ついてきた場所はポケットの底のラインと同じ位置でした。低すぎます  裾から5cm程度しか離れていません。
速攻で取り外して、自分で理想の位置に付け直してしまいました。写真は付け直した後のものですが、革製品の縫い目なので当然縫い穴はそのまま残っています。よく見ると穴が点々とあるのがわかると思います。
こだわってお願いした部分が違っていたのだからクレームとも思いましたが、やめて自分で付け直しました。
理由は、あまりにも色が気に入ったから(苦笑)
縫い穴は遠目だと目立たないしインディジャケットはボロくてなんぼ。まぁいいか!と。
それよりも作り直してもらって、この色から違う色になってしまった場合の方がダメージが大きいと判断したわけです。

重さはインディジャケットの中では超重量級。いかにも厚手のカウハイドジャケットという重さです。
革の質はTONY氏のものとはまた違った、質のいいものに感じます。
1ヶ月着込んだ今ではかなりしっとりとしていい感じに馴染んできました。
知り合いにはウェイトトレーニングなのか?と揶揄されたりしますが・・・・。

結論としてMagnoli Clothiers社のジャケットは細部だけではなくポケットサイズ、ベルトの位置など
細かい注文を正確に伝えれば、しっかり作ってきてくれるメーカーであるといえるかと思います。
が!(まだ、”が”です。)仲間の話ではストームフラップにスナップボタンを付け忘れていたとか、ポケットのスナップボタンの♀パーツがついていなかったとか、ポケットのフラップの上にボタンが露出していたとかケアレスミスもよくあったりするようです。その場合は某社と違いアフターケアはしっかりしてくれるようですので、まぁ安心といえば安心かもしれません。

ポケットサイズやアジャスターベルトは残念でしたが、それでも製品はいいですよ。Magnoli Clothiers。