パワードスーツの開発をする傍らで筋トレをしていたが、近頃は空手を習い始めた。正義の味方はアスリートではなく戦士なのだ。武術の一つも覚えてなくてはいけないだろうから。

正義育成専門学校の「正義理論」の授業でも

市街戦ではなるべく近接格闘で悪を打ち倒す方が良い。飛び道具の流れ弾で市民や建物を傷着けない事も正義の味方には要求されるからだ。

と教えられたし、実際その通りだと思う。世間に見放された正義なんて目も当てられない。

こうして、月日は流れ空手の帯が黒くなった頃、ついに試作型パワードスーツが完成し夢にまでみたテストの時が来たのだった。
悪意が蔓延しているこんな世界だから、男の子は正義の味方になって平和を守ろうとしたり、逆に悪の組織の幹部になる事を夢みたりするのが普通になったりして、かく言う俺も正義の味方に憧れていたけど、晴れてこの春ついに念願だった正義の味方専用パワードスーツを造る企業に就職する事ができたのだ。
現場で戦うだけでは悪にかてない。影で正義の味方をサポートする事も正義につながると俺は信じている。
その為にはより良いスーツを造る必要がある。
より良いスーツを造るにあたって必要な事は実際自分で着て動かす事だと主任は言った。

確かに。

着心地が悪かったり、動かしずらくては悪には勝てないだろう。
実際自分で着て運動性を確かめる事にしたが、ここにきて一つ問題が生じた。

運動不足によりまともに動かせなかったのだ。

ただ着るだけなら誰にでもできる。必要なのはそのスーツを着ていかに動くか、だ。
正義の味方ってのは、今や立派な、正規の職務であって遊びじゃない。専門学校で日々、正義学と厳しい訓練の末に国家試験を受けて受かった者がやっとなれるのだ。
こうして、機械科出身の俺に致命的に足りない体力を向上させる為、筋トレの日々が始まった。
あるところに、少々ばかり性格は悪く頭の良い科学者がいました。

ほんの少し世の中の科学の水準を上げれるぐらいは頭が良く、その数々の発明が世の中に混沌を招く事が予想出来ながらあえてその発明を世の中に広めるぐらい性格の悪い科学者。

ほんの少し前まで人々が夢にまでみた様々な発明品が手に届くようになると最初は感謝し、それを使った犯罪行為が多発するようになったら、今度はその科学者を非難する声が上がった。

もっとも、その科学者は性格が悪いので、そういった非難の声を聞いてむしろ、愉快に思っていましたが。
そんなこんなで犯罪率が急上昇し、世に言う「悪の組織」や「秘密結社」などが大量発生し、それに対抗すべく作られたのは法や秩序、倫理観の観念から平和をまもる民間の防衛企業が誕生し、世界はかろうじて正義と悪のバランスを保っていました。