先週11月18日のNEJMから不飽和脂肪酸と心血管イベントの話。
n-3 fatty acid and cardiovascular events after myocardial infarction. (NEJM 2010; 363: 2015)
少し前説すると、、、
ヒトにとって多価不飽和脂肪酸は必須脂肪酸であり、
n-3系とn-6系の二系統がある。
n-3系は抗炎症系に関与する。
海産物由来(よく言う魚油)・・・・EPA:エイコサペンタエン酸、DHA:ドコサヘキサエン酸
植物由来・・・・ALA:αリノレン酸
ALA→EPA→DHAと代謝される。
なお、n-6系は炎症系に関与する。
リノール酸、アラキドン酸など。
、、、でこの論文は、
心筋梗塞患者に、EPA+DHA、ALAを混ぜたマーガリンを40ヶ月食べてもらい、
心血管イベントの発生率を比較した。
ザックリと結論を言うと、
「n-3系脂肪酸を少量補充しても、心血管イベント発生率は変わらなかった」
サブ解析では、
女性ではALAを多く取った群が心血管イベントが少ない傾向にはあった。HR=0.73、p=0.07。
事後解析では、
糖尿病群がEPA+DHAを取ると、心血管死、冠動脈死などが有意に低かった。HRは0.5-0.6。
事後解析なのでこれだけでは断定的なこと言えないけど。。
ALAのトリビアも書いてあった。
動脈硬化プラークの形成と石灰化を遅らす、
プラーク安定化、
心筋細胞膜に増えると膜安定化で抗不整脈効果
、、、だそうだ。
ちなみに過去の報告では、
EPA+DHAで冠動脈疾患による死亡率が2-3割減少するとされている。
ALAでも2割減少するというものがある。
今回の研究で何故いい結果がでなかったか、、、
一つは、昔に比べて薬物療法が進歩した。
特にスタチン内服率が格段に上がっているので、
n-3系脂肪酸摂取の効果がマスクされている可能性ある。
あとは、他の研究と対象患者がやや異なる。
今回は男性が多く、平均69歳とやや高齢、心筋梗塞は陳旧姓だった。
他の研究は、女性が多かったり(ALAが効果でるかもしれない)、
もっと若かったり、心筋梗塞が亜急姓だったり。
補足だけど、、、
今回の対象は4837人の陳旧姓心筋梗塞患者。
これを四群に分けて、2×2で比較検討している。
その四群とは、EPA+DHA、ALA、EPA+DHA+ALA、プラセボ。
この論文での心血管イベントとは、
一次エンドポイントは、心筋梗塞(致死、非致死)、血行再建(PCI、CABG)。
二次エンドポイントは、いっぱいあって、致死的心血管疾患、致死的冠動脈疾患、心室性不整脈に由来するイベント、全死亡。
今回の研究において、マーガリンからのn-3系脂肪酸の摂取量は、
EPAが226mg、DHAが150mg、ALAが1.9g。
この量ってどのくらいなんだろ?
少ないらしいけど、実感わかず。
エパデールを使ったJELISはどれくらいの摂取量だったかな。。。