あの人が去ってから、どれくらい時間が経ったんだろう。
呼吸も落ち着いて、意識もはっきりとしてきた。
でも、一つだけわからない。
俺は、どうしたらいいんだろう。
裏切り者って言われて、なのにまだここに居てみんなと笑いあうなんてこときっと俺にはできない。
俺は、ここにいたら心配をかけるだけなんじゃないかな。
視界がゆがむ。
だんだんと、目から涙がこぼれおちる。
どうしたらいいかな。
みんな、俺はどうすればいい?
でも、誰にもこんな相談は出来ない。
今までお世話になった真護さんに迷惑かけたくない。
俺は、何回も倒れて、みんなに迷惑をかけてばっかりだ。
雪のように、桜のように、俺も消えてなくなれたら……。
いや、その時はいつも真護さんが叱ってくれたっけ。
命を粗末にすんじゃねぇって。
真護さんに会いたいなぁ……。
でも、結局俺は迷惑しかかけられないなぁ……。
何しても、俺は引っ張ってばっかりだ。
剣道では、勝てる。
でも、それ以外は頼ってばかり。
勉強も出来ない、男装してるっていう時点でただでさえ迷惑をかけてるのに。
湊さんにもっと苦労を与えてる。
とりあえず、俺は今、無事だ。
でも、狙われるという役職についたことは俺が死ぬまでとれないだろう。
ごめんなさい、まだ会ったことのないお母さん、お父さん。
私は、この人達の為にも死んだほうがいいんでしょう。
死ぬことが許されぬなら、今のうちに俺は出ていこう。
大丈夫、この地なら俺が逃げてもきっとみんなにはばれないだろうし。
そうと決まったら早く行こう。
ここに長く居ると出て行きたくなくなる。
それに、ときどき俺は俺じゃないみたいだ。
だから、早く出て行こう。
―――――――――さようなら。
ホテルから出て、俺は少し歩いた。
持ってるものはとりあえずお金。
携帯は置いてきた、連絡でもされたらきっと俺は泣いてしまうから。
もどりたいと、思ってしまうから。
でも、捨てられないものもあって……朔羅さんからもらったシュシュ。
それだけあれば生きていける。
いや……あと、みんなとの思い出があれば。
大丈夫。
俺は一人でも歩いて行ける。