湿度の高い湯煙を胸いっぱいに吸い込んで
ほぅ……と口からもれる溜息は
肺も肌も心も潤いに満ちたしずく

露天のゆぶねに四肢を伸ばし
首の付け根を岩に預ける

身も心も
手放したように
自由


瞼を閉じて
そんな想像をした
春の青空
薄い雲
じんわりぬくもる足先
手のひらに柔らかい湯

既に始まっている脳内旅行
今日の演目は露天風呂

ほどよく温まった身体は
一度湯からあがり
乳白色をまぶしたような夕暮れの空

このまま冷たいビールを飲もうか
もう一度湯につかろうか

心地よい風が浴衣をくぐりぬけ
湯の音
樹々のざわめき
土の匂い

ほぐれた心は好きに漂い
旅の途中で夢の中

きっと目が覚めたころ
西の空に上限の月
朝を待つ鳥のさえずる前に
もうひと風呂いただこう

ここは現実?
想像の中?

だんだんどちらでもよくなってくる
身も心も手放したように
脳の中も自由